函館市の男女共同参画啓発誌について

 函館市では、「男女共同参画基本計画はこだて輝きプラン」に基づいて、小学生・中学生向けの男女共同参画啓発誌を発行していますが、その啓発誌が今年5月に新しくなりましたので、その内容について見てみたいと思います。

 函館市の男女共同参画については、以前拙ブログでも取り上げたことがありますので、そちらも是非ご覧頂きたいと思いますが、その中で紹介させて頂いた函館市の動きについてもう一度みてみますと、国においては、平成8年に男女共同参画ビジョンが策定され、平成11年には男女共同参画社会基本法が制定、翌年には男女共同参画基本計画が閣議決定され、5年ごとに基本計画を策定していますが、函館市においては平成10年に「~男女共同参画をめざす~はこだてプラン21」が策定され、平成17年には「函館市男女共同参画推進条例」が施行されて、条例に基づいて平成20年には「はこだてプラン21」に続く基本計画として「はこだて輝きプラン」が策定されています。

 その「函館輝きプラン」に基づいて、今回の啓発誌が発行されたのですが、平成14年2月に初めて発行された時の名称は「ジェンダーフリー啓発誌」でした。その後、ジェンダーフリー(ジェンダーフリーについての拙ブログ記事はこちら)によって様々な問題が各地で起こり、国会で問題にされたこともあって、平成16年10月の改訂版では、名称が「男女共同参画啓発誌」に変更された経緯があります。ただし、内容はジェンダーフリーという用語を削除した程度で、ほとんど変わらず、例えば、小学生版の表紙のイラストでは、男の子が赤い服に赤いランドセルを背負い、女の子が青い服に黒いランドセルを背負っていたり、初版で「ジェンダーにとらわれない行動や生き方をジェンダーフリーといいます」と説明書きしてあった「ジェンダーチェック」も、その解説を訂正したものの、「ジェンダーチェック」自体はそのまま残されていました。

 その後、函館市議会でも、男女共同参画条例の制定に伴って、市議から「この条例は男らしさ、女らしさを否定しているものなのかどうか」「ジェンダーフリーについて市長はどう考えているのか。また、この条例はジェンダーフリーの考え方に基づいたものなのかどうか」「この条例では基本理念の中で、家庭生活の充実及び家庭生活とその他の活動との両立がうたわれていますが、これは専業主婦を否定することになるのでしょうか。専業主婦は家庭を守り子供を育てるという大変重要な役割を担っており、社会の基本を支えていると言っても過言ではありません。専業主婦を否定するような条例をつくるべきではないと考えますが、この点について市長の考えをお聞きしたい」という質問があり、当時の市長が次のような答弁(詳細は拙ブログをご参照下さい。)を行いました。

 昔から「男らしさ」という言葉で象徴される勇気・力強さなどのイメージと同様に、「女らしさ」という言葉で象徴される優しさあるいは奥ゆかしさといった言葉のイメージは否定されるべきものではなく、むしろ我が国のよき伝統の一つのとして受け継いでいくべきものであると考えております。

 この条例においては、社会的・文化的に形成された性別による固定的な役割分担意識にとらわれることなく、男女が個人として能力を発揮する機会を確保されることを規定しているものであり、男らしさ、女らしさにつきましては否定されるべきものではないと考えております。

 近年、ジェンダーフリーという言葉が生来的な性別も含めて、男女の性別にかかわって何もかも一緒にすることが平等であるという意味にとる曲解が広がっており、こうしたジェンダーフリーの考え方が家庭を始め社会を崩壊させるものではないかと危惧する向きがあることは私も承知をいたしております。

 家庭における専業主婦につきましては、社会を構成する基本的な単位であります家庭において重要な役割を果たしているものと強く認識をいたしております。一方、男女共同参画社会とは、男女が社会の対等な構成員として、多様な価値観の中でみずからの意思に従い、社会のあらゆる分野の活動に参画する機会が確保される社会であります。この社会のあらゆる分野での活動の中には、当然家庭における活動が含まれており、他から押しつけられるものでもなく、みずからの意思に基づきそれぞれの役割を選択することが重要であると考えております。


 こうした市議会での質疑を受けてでしょうか、平成18年には啓発誌も全面的に改訂されて、常識外れのイラストもなくなり、ジェンダーチェックもなくなって、男女がそれぞれの特性を生かした男女共同参画の啓発誌となりました。

 さて、今回新しく発行された男女共同参画啓発誌ですが、基本的には、平成18年版の内容を踏襲したものです。ただし、小学生版の6頁に「あなたの家ではだれの仕事?」というチェック欄が新たに掲載されました。

 「☆あなたの家ではだれの仕事?」「チェックしてみよう!」「あなたの家では、だれが、どんな仕事をしていますか」という問いかけがあり、「家の中の仕事(家事)」の項目が表の左側にあって、右側には「仕事をしている人」を書き込むようになっています。その「家の中の仕事(家事)」には、次の項目が並んでいます。

  食事のしたく
  食事の後かたづけ
  へやのそうじ
  トイレのそうじ
  おふろのそうじ
  せんたく
  買い物
  ゴミ出し

 小学生の多くは「仕事をしている人」に欄に「お母さん」と書き込むのではないでしょうか。それを受けて表の下には「どんなことを感じましたか?思ったことを書いてみよう」とありますが、何を考えさせようとしているのでしょうか。専業主婦を否定させる意図があるのではないでしょうか。

 因みに中学生版では「☆あなたの家庭の役割分担はどうなっていますか?」とあり、項目には

 食事
  献立を考える
  買い物をする
  料理を作る
  食器を並べる
  後片付け
 整理・整頓
  部屋の掃除
  トイレの掃除
  風呂の掃除
  ゴミを片付ける
 洗濯
  洗濯機を回す
  洗濯物を干す
  洗濯物をたたむ
  洗濯物をしまう
 その他
  雪かきをする
  電化製品の修理

とあり、その他として「母親」とは回答しないような項目が付け足されています。

 拙ブログの前の記事にも書きましたが、世論調査などをみますと、例えば、平成24年度の内閣府の男女共同参画社会に関する世論調査では、「夫は外で働き,妻は家庭を守るべき」とする人が平成19年度の調査から約1割増えて過半数を超えていますし、平成25年度厚生労働白書の結婚に関する意識でも、専業主婦が理想のライフコースとする女性が増えているのに、実際は実現できないという結果が出ています。もちろん、これは現在の経済状況による面もありますが、その要因を除いても専業主婦という選択は多くの女性の選択肢であるはずです。啓発誌には「~大切に あなたらしさと わたしらしさ~」とありますが、専業主婦という選択は「わたしらしさ」には入らないのでしょうか。

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