函館市で子ども条例制定に向け検討委員会設置

 1カ月も前の記事で恐縮ですが、3月6日付の函館新聞に、市が昨年度から調査を進めている「子ども条例」の制定に向け、新年度に検討委員会を設置することが市議会で明らかになったという記事がありました。

新年度に検討委設置 「子ども条例」制定へ市 (函館新聞 平成24年3月6日)

 函館市議会は5日も個人質問を継続し、5氏が質問に立った。市は昨年度から調査を進めている「子ども条例」(仮称)の制定に向け、新年度に検討委員会を設置することを明らかにした。先進地の事例でポイントとなった「子どもの権利」だけでなく、さまざまな側面から検討を深めていく考え。

 藤井辰吉氏(市政クラブ)の質問に対し、川越英雄福祉部長が明らかにした。

 子ども条例の制定は工藤寿樹市長が政策に盛り込み、本年度補正予算で調査費を計上した。市はすでに条例を制定した都市の中から28市を対象に文書調査を行ったうえで、昨年11月に神奈川県川崎市と東京都調布市、同目黒区を訪問。条例制定の目的が「子どもの権利保障」「子どもの育成施策の推進」と、両要素を合わせ持つ地域を選んでおり、条例制定に至る背景や子どもの意見の反映方法、制定後の効果や課題について聞き取り調査を行っている。

 新年度予算には関係経費約60万円を計上。今後の進め方をただした藤井氏に対し、川越部長は同条例の趣旨について「地域全体が喜びを持って子どもの成長を支えることができる地域社会の実現が目的。できるだけ多くの市民の合意のもとで制定する必要がある」と回答。

 その上で、新年度に学識経験者や公募市民で構成する検討委員会を設けるとともに、委員会での議論を踏まえてアンケート調査の実施や、委員会と各種団体との懇談の場を設けることなどを示した。市子ども未来室は「具体的な設置時期は現段階で未定」としている。

 個人質問には藤井氏のほか佐々木信夫氏(市民クラブ)、小林芳幸氏(公明党)、本間勝美氏(共産党)、見付宗弥氏(民主・市民ネット)が立った。


 記事の中で、昨年11月に川崎市、調布市、目黒区を訪問して調査を行った、とありますが、川崎市については既に拙ブログでも取り上げていますので、今回は調布市と目黒区の条例を見てみたいと思います。

調布市子ども条例

目黒区子ども条例

 先ず、調布市子ども条例ですが、前文に「日本国憲法をはじめとして、世界人権宣言、児童の権利に関する条約等が定める人が生まれながらにして持っている基本的人権の保障の精神と理念を尊重する」としていて、各条文には具体的な権利の規定はありません。条文にあるのは、「子どもの健康の保持推進」「子どもの生活の安全確保」「子どもにやさしいまちづくりの推進」などで、第13条には「家庭の役割」として、「家庭は、子どもが育ち、人格を形成するうえで最も大きな役割を担っていることを自覚し、子どもとのふれあいを大切にするように努めなければならない。家庭は、子どもが、基本的な生活習慣、社会の規範を守る意識及び善悪の判断を身に付けることができるよう自らが範を示すとそもに、豊かな人間性をはぐくむことができるよう努めなければならない」という家庭重視の規定もあります。

 こうして見ますと、調布市子ども条例は、子どもの権利については、憲法や条約などで既に定められている人権を尊重することを前文で規定し、条例全体としては、第1条にあるように「子どもとその家庭への支援の基本理念並びに家庭、学校等、地域、事業主及び市の役割を明らかにするとともに、(中略)子どもが夢を持ちながら、いきいきと育ち、自立することができるまちづくりを推進し、子どもが健やかに育つことを目的とする」内容であることがわかります。

 次に目黒区子ども条例ですが、こちらは名称こそ「子ども条例」ですが、内容は子どもの権利条例で、更に子どもの権利擁護委員の設置を規定しています。

 具体的には、「第三節 子どもが安心できるまち」として「子どもの安心」を掲げていますが、条文には「安心して生きる権利」とありますし、「第四節 子どもが参加できるまち」として「子どもの参加」を揚げていますが、条文には「自分にかかわりのあることについて意見を述べたり、仲間をつくったり、様々な活動に参加したりする権利」とあり、「第五節 子ども一人ひとりのことを大切にするまち」でも「自分らしさ」を揚げて「自分らしさを認められながら育つ権利」とあります。このような権利の列挙は川崎市などにみられる子どもの権利条例の特徴です。

 また、第3章では子どもの権利擁護委員の設置を規定し、委員の仕事として「相談を受け、その解決のために助言や支援を行うこと」「救済の申立てを受け、事実の調査や関係者間の調整を行うこと」「子どもの権利を侵害したものに対して、その影響度に応じ、意見の表明又は改善の要請を行うこと」「改善の要請を受けたものに対して、改善の状況などの報告を求めること」などが揚げられています。こうした制度によって、どのようなことが起きているかについては川崎市川西市の例をご覧下さい。

 新聞の記事には「条例制定の目的が『子どもの権利保障』『「子どもの育成施策の推進』」と、両要素を合わせ持つ地域を選んで」とありますが、川崎市と目黒区については明らかに「子どもの権利保障」型の条例です。

 目黒区のHPを見ますと、条例制定に向けて設置された「子どもの条例を考える区民会議」の会長は喜多明人氏が務められたようですが、喜多氏は川崎市の条例制定の際にも「川崎市子ども権利条例検討連絡会議」の委員として参画していますし、子どもの権利条約総合研究所の代表も務められていて、子どもの権利条例を推進されている方ですから、目黒区の条例が川崎市の条例と同じような内容になったのではないでしょうか。

 函館市の場合は、「子どもの権利条例」から「子ども条例」に名称を変更した経緯もありますし、市議会等でも「検討を進めております子ども条例につきましては、広い観点から子供たちの健やかな成長を図り、幸せに暮らすことができる地域社会の実現を目的とするものであります」答弁されているのですから、川崎市と目黒区を調査することは意味があるのかと思います。

 今年度には検討委員会を設置するようですが、目黒区の例を見てわかるように、子どもの権利条例推進派の専門家を入れれば、それ以外の委員は、どうしても推進派に引っ張られてしまいますので、検討委員会の人選にあたっては、そのようなことがないように願いたいものですし、「広い観点から子供たちの健やかな成長を図り、幸せに暮らすことができる地域社会の実現を目的とする」のであれば、そうした事例を調査して頂きたいと思います。


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