児童の権利条約に第3選択議定書制定の動き

 児童の権利に関する条約の新たな第3選択議定書制定の動きがありますので、今日は選択議定書についてお伝えしたいと思います。(広島市の例の続きは、後日アップさせて頂きます<(_ _)>)

 児童の権利に関する条約をはじめとする国連の各人権条約には、条約の一部について詳細を規定したり、或いは条約の内容を補足したりするために、条約に付随して選択議定書が設けられています。

 例えば、「市民的及び政治的権利に関する国際規約」(いわゆる「国際人権B規約」と呼ばれるもの)には、「市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書」(いわゆるB規約の「第1選択議定書」)と「市民的及び政治的権利に関する国際規約の第2選択議定書」(いわゆるB規約の「第2選択議定書」)があり、第1選択議定書は、B規約に定めた権利の侵害があった場合に、個人が国連に通報でき、それを国連の人権委員会が審議する制度を規定しており、第2選択議定書は、死刑廃止を目的としたものです。

 同じように女子差別撤廃条約にも、個人通報制度を定めた選択議定書があり、障害者の権利に関する条約にも個人通報制度を定めた選択議定書があります。(障害者の権利条約は我が国は署名していますが未批准です)

 また、このブログで取り上げている児童の権利に関する条約には、「武力紛争における児童の関与に関する児童の権利条約選択議定書」と「児童の売買等に関する児童の権利条約選択議定書」があります(両議定書は我が国も批准)が、まだ、個人通報制度を定めた選択議定書はありません。

 これらの選択議定書のうち、個人通報制度を定めたもの、また死刑廃止を目的とした選択議定書には我が国は批准していません。個人通報制度を定めた選択議定書に批准しない理由について我が国は

「我が国としては、同選択議定書が定める個人通報制度については、条約の実施の効果的な担保を図るとの趣旨から注目すべき制度であると考えられるが、司法権の独立を含め、我が国の司法制度との関連で問題が生じるおそれがあり慎重に検討すべきであるとの指摘もあることから、現在のところ当該選択議定書を締結していない。」女子差別撤廃条約第5回報告書より)

としています。

 そもそも条約の解釈権は締約国にありますから、条約の内容によっては留保をしたり解釈宣言をする国があるわけですが、個人通報制度を定めた選択議定書に批准するとなれば、我が国の司法で審理を尽くした事例が、更に国連の各人権条約の委員会に審理されることになり、最高裁の判決と異なる判断がされることもあり得ます。

 以前、国連の委員会の様子や、そこにレポートを提出している我が国のNGOの様子などもお伝えしましたが、そうした委員会が審理するのです。例えば、我が国では非嫡出子の相続は嫡出子の半分と民法で定められており、最高裁でも合憲の判断が下されていますが、女子差別撤廃委員会では我が国の報告に対する見解の中で、毎回のように

「戸籍制度及び相続に関する規定によって嫡出でない子が依然として差別を受けていることについて懸念を有する」(昨年出された第6回報告諸に対する最終見解より)

としていますから、こうした問題について我が国の司法と国連の委員会の判断が異なることが予想されます。もちろん、国連の委員会に強制力があるわけではありませんが、選択議定書の批准を求める国内勢力は当然、国連の判断を持ち出して訴え、それをマスコミが取り上げれば司法判断にも影響がないとは言えませんし、司法判断に影響がなくても、民法などの法改正には圧力となると思います。

※非嫡出子の相続問題については平成7年の最高裁大法廷判決で合憲とされてから、最高裁小法廷では全て合憲とされてきていますが、今年7月の裁判では小法廷が判断を回避して大法廷に回付しています。

 さて、このブログは子どもの権利条例を取り上げていますので、児童の権利に関する条約の選択議定書についてですが、上記の通り、児童の権利条約にはすでに2つの選択議定書があり、我が国も批准していますが、他の条約にあるような個人通報制度を定めた選択議定書がありませんでした。しかし、昨年からこの選択議定書(第3選択議定書)を制定しようとする動きがあり、今年3月には国連の人権理事会で選択議定書に関する審議が開始され、作業部会において草案を作成して来年9月の理事会に提出するように決議が採択されました。8月には議長草案が発表され、今月6日からの第2回国連人権理事会作業部会で審議されています。また、我が国の子どもの権利条約NGOグループも積極的に活動しているようです。

 夫婦別姓の記事でお伝えしたように、函館市では「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」を可決してしまいましたが、児童の権利条約の選択議定書についても今後注視しなければなりません。


選択議定書の問題については、こちらもご覧下さい。
ブログ「草莽崛起」さんの「自民党は国連の家族解体システムを批准するな

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