兵庫県川西市の例

 各地の子どもの権利条例を調べてみますと、兵庫県川西市の「川西市子どもの人権オンブズパーソン条例」と神奈川県川崎市の「川崎市子どもの権利に関する条例」を先例としていることがわかります。

 そこで、平成10年に制定された川西市の条例を調べてみると、条例の第2条に

「すべての子どもは、権利行使の主体者として尊重され、いかなる差別もなく子どもの権利条約に基づく権利及び自由を保障される」
「子どもの人権が正当に擁護されるよう不断に努めなければならない」
「自己の権利を正当に行使することができる子どもの育成を促進するとともに、子どもの人権の侵害に対しては、適切かつ具体的な救済に努めるものとする」


として、第4条でオンブズパーソンの設置を定め、その職務を第6条で次のように定めています。

「オンブズパーソンは、次に掲げる事項を所掌し、子どもの人権案件の解決に当たる。
(1)子どもの人権侵害の救済に関すること。
(2)子どもの人権の擁護及び人権侵害の防止に関すること。
(3)前2号に掲げるもののほか、子どもの人権の擁護のため必要な制度の改善等の提言に関すること。」
 

 子供は、一人前の大人になるように、また社会に出て責任をもって行動できるように、子供のうちは愛情をもって育まれ、教えられ、保護されるものだと思うのですが、その子供が「権利行使の主体者」となるのでしょうか。

 さらには、その権利(保護ではなく権利ですよね)が侵害された時に、第三者であるオンブズパーソンが救済するとなっていますが、学校や家庭の役割はどうなのでしょう。教育や躾は成り立つのでしょうか。

 ちょっと検索してみましたら、平成17年12月30日の読売新聞に次のような記事がありました(元記事はすでに検索できませんでした)が、これは先生が悪いのでしょうか。或いは他の生徒の授業を受ける権利はどうなのでしょうか。

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中学「別室指導は見せしめ」…保護者ら人権救済訴え(読売新聞)

 兵庫県川西市立東谷中学校(同市見野、岡田良仁校長)が、教諭に従わない生徒らを「別室指導」としてクラスから一定期間“隔離”し、個別指導していたことがわかった。市設置の第三者機関「川西市子どもの権利オンブズパーソン」が「生徒の権利が十分保障されていない」と是正を勧告したが、同中学は「授業を円滑に進めるためのやむを得ない対応」と、続けていた。この指導を受けた男子生徒の保護者らから「見せしめ、懲罰的だ」との声が上がり、兵庫県弁護士会に人権救済を申し立てる事態になっている。

 市教委や岡田校長などによると、同中学が別室指導を始めたのは今春。授業態度を注意した教諭に反抗したり、暴言を吐いたりした生徒に対し「他の生徒の妨げになるため、本人を落ち着かせる」との目的で、5日間、別の教室に移し、教諭と1対1でプリント学習をさせた。1日目は1時間だけだが、以降は毎日1時間ずつ延長。遅刻などがあれば5日以上続けて行うこともあったという。

 生徒の一人から人権救済の申し立てを受けたオンブズパーソンは8月、「『秩序を守るため』という目的は、教育を受ける権利を制限する正当な理由とはいえず、生徒に積極的な授業妨害もみられない」などとして中学側に是正勧告した。

 市教委も「別室指導は必要な場合もあるが、あらかじめ期限を決めるのは不適切」とし、口頭で指導したが、同中学は9月末、別の生徒に5日間の別室指導を行っていた。

 この生徒ら6人の保護者は11月、「平手打ちされた」など体罰も訴えて市教委に改善を求める一方、同弁護士会に人権救済を申し立てた。代理人の櫛田寛一弁護士は「学校側が問題生徒を頭から抑えにかかる異常な状況だ」と指摘する。

 岡田校長は「板書中の教諭に物を投げつけた生徒もおり、社会常識を身につけさせるためにも個別で指導している。見せしめという思いは一切ない。理解が得られるよう生徒や保護者と粘り強く話し合っていくしかない」と話している。

 ◆孤立化させる恐れ

 影山昇・東京海洋大名誉教授(学校教育学)の話「別室指導は、その生徒を孤立化させてしまう恐れがあり、人権問題と言われても仕方がない。同じ教室の中で問題解決を図るべきだ」

 ◆やむなしの場合も

 元中学校教諭で「学校崩壊」の著書がある河上亮一さんの話「少数生徒の行動で教室全体が混乱しているなら別室指導もやむを得ない場合があるかも知れない。学校は教室の状況と、他の生徒への影響を保護者らにしっかり説明し、ともに対応を考えるべきだ」

この記事へのコメント

いろは
2013年01月09日 02:27
大多数の生徒の、静かに授業を受ける権利は?
1対1で教えてもらえるなんて、羨ましい限りの好待遇なのに文句を言う親も生徒も狂ってる
落蹲
2013年01月09日 07:16
いろはさん、コメント有り難うございます。仰る通りですよね。
広島市の条例制定の時(制定は阻止されましたが)には、子供の意見として次のようなものがありました。

「子どもの権利条約があるのでそれ守ればいいと思う。お互いの権利を尊重するといっても、騒いでいる子は「私には勉強する権利があるのだから静かにして」といっても聞いてくれない。話合いに応じない子は「自分にも権利がある」といって、話合いにならない。こういう状況では、先生も困ると思う。子どもの権利条例ができたら、更にひどい状況になりそうでいやだ。」

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