函館市議会平成24年9月定例会での議論

 拙ブログでは、子ども条例に関する函館市議会での議論について、その都度取り上げてきましたが、今年の9月定例会の議事録が市のHPに掲載されましたので、その内容について見てみたいと思います。

 今回は先ず、子ども条例制定検討委員会の委員に学生2名が就任した経緯についての質疑があり、その後、検討委員会の会議内容や条例制定までの予定についての質疑があって、それぞれ子ども未来部長が答弁をしていますが、条例制定までの予定としては、「平成25年度には条例に盛り込む具体的な内容について検討を進めていただき、平成26年度には検討委員会でのそれまでの議論を踏まえ、子ども条例についての検討委員会としての提言を提出していただきたい」ということのようです。

 次に、市議から、第1回委員会の資料の中で、国連の児童の権利に関する条約の訳文について、委員会で配布された資料はユニセフの訳文であって、外務省訳にある権利の制限が一部削除されていることについて、「直訳されているものは、法律に定められている制限のほかに、安全や秩序、道徳に反するものである場合は、その権利にさらに制限を課すことができるという内容が明記されています。同じ条約の直訳と抄訳による差ですね。」との指摘があり、委員会の資料としては外務省訳を用いるべきとの意見がありましたが、これについては拙ブログでも下記の記事で指摘をさせて頂きましたので、ご参照下さい。

 第1回函館市子ども条例検討委員会の配布資料 

 最後に、いじめ問題に関して、市議から「子ども条例の健やかな成長を願うという理念とともに、いじめの状況に応じた対策を講じるいじめ対策条例、加えまして虐待による重大な被害を未然に防ぐための虐待防止条例などの類いに着手することも大事だと私は考えております。」として市長の見解を求め、それに対して、市長が次のように答弁されています。

「私は、前にもこの子ども条例について○○議員と議論を交わしたことがあるわけで、そのときに私自身は、虐待とかいじめだとかという問題があると、そういうものについて地域として全体で子ども条例というものをつくる中で、そういうものの防止策も含めて検討して、子供たちがたくましく生きる、そういう力を身につける環境を整えるということを申し上げたわけであります。
 それで、今、子ども条例の中身については、これは市民の皆さんの検討委員会の中で議論をされていくことになりますから、そういったいじめあるいは虐待についての個別の条例がいいのか、子ども条例の中でそういうものを取り組んでいくほうがいいのか、そういうものも含めて御議論をいただければというふうに思うわけであります。」


 市長は、これまでも、「子供の人権を尊重し、子供たちの健やかな成長を図り、幸せに暮らすことのできる地域社会を実現することを目的とする」「子供たちの健全育成に関するさまざまな観点から調査検討を進めて参りたい」(平成23年6月定例会)「市民みんなで、子供をいかにして未来に向かって希望を持って生きられるような環境を整えてあげるかということを考えるということで、私は子ども条例を提案しているわけでありまして、御指摘の権利権利だと、子供の権利だけだということで考えているわけではありませんし、場合によっては、したがって、私、権利条例という名前を使ってないわけでありますから、総合的に考えていく」(平成23年9月定例会)と答弁されており、今回も「子供たちがたくましく生きる、そういう力を身につける環境を整える」と答弁されていますので、子ども条例については、権利条例ではなく、健全育成を目指す考えだと思いますが、いじめや虐待の問題については、個別の条例が良いのか、子ども条例の中で取り組むのか、検討委員会で議論をして頂きたいと考えているようです。

 いじめや虐待の問題と子どもの権利条例については前回の記事で取り上げてみましたので、ご参照頂ければと思います。

□拙ブログの函館市議会関係の記事
 函館市議会での子どもの権利条例についての議論
 函館市議会平成23年6月定例会での議論
 函館市議会平成23年度函館市各会計予算特別委員会での議論
 函館市議会平成23年9月定例会での議論
 函館市議会平成24年2月定例会での議論
 函館市議会平成24年6月定例会での議論


■平成24年第3回9月定例会

○9月7日
(質問者:市議)  私は、これまで子ども条例──済いません、ここからは(仮称)を抜かします──に権利の付与が付随する類いの個別例などを取り上げながら、その権利というものを法的に認めてしまったがゆえに、全国で起こった教育現場の乱れ、家庭内でのしつけなどの行いづらさ、学校や生徒に対して行った体罰ではない指導に対しての、教員から生徒の保護者への謝罪要求などがなされた例、また権利の内容を解釈する上で今後起こり得る事態例などを挙げながら、子ども条例の検討に対しては至極慎重に、また権利を保障する条項に関しては含んではいけないという論を申し上げてまいりました。
 前々回の議会定例会において、子ども条例について質問させていただいてから後、制定に向けた検討委員会が設置され、本日までに2回開催されております。
 それでは、質問いたします。
 検討委員会の委員の選出において、学識経験者及び各種団体関係者枠が15名示されておりました。及び市民公募枠で2名、計17名とウエブサイト上でも出ておりましたが、ところが市民公募の締め切りに近い時期に、突如として学生枠というものがあらわれ、公募するでもなく、学生2名が委員として追加選任されました。この学生枠設置に至った経緯をお教えください。

(子ども未来部長) 条例制定検討委員会の委員の選任に当たってのお尋ねでございます。
 (仮称)函館市子ども条例の制定を検討するに当たり、広く市民の意見を聴取し、条例の基本的な考え方や条例に盛り込む内容等について必要な提言を得るため、このほど(仮称)函館市子ども条例制定検討委員会を設置し、子ども条例制定に向けての検討を開始したところでございます。
 この検討委員会の委員の選任に当たりましては、学識経験者のほか、子育てや子供にかかわる各種団体から推薦をいただいた方や、公募の市民、さらには大学生にも参加の依頼をしたところでございます。
 学生の委員就任に当たりましては、就任依頼の過程で複数の委員から、子ども条例の検討のための委員会であり、若い人たちの意見も聞く必要があるのではないかとの御意見がありましたことから、市といたしましてもその必要性を認め、大学生の枠を設けたところでございます。
 以上でございます。

(質問者:市議) ありがとうございます。就任要請依頼の過程でそういう話が出たということで、わかりました。
 それでは、質問いたします。
 学生からの検討委員会の選考方法についてお教えください。

(子ども未来部長) 選考の考え方についてのお尋ねでございます。
 大学生の選考に当たりましては、市内において子供に関する活動やまちづくり活動に参画している学生を候補者として、市内の大学の先生やまちづくり活動を行っている方々にお話をお聞きして、事務局で適任者を選考したところでございます。その際、この条例制定検討委員会の検討期間がおおむね2年を予定しておりますことから、最後まで同じ方に委員に就任していただきたいと考え、現在大学2年生である方を候補者として選考を進めたところでございます。
 以上でございます。

(質問者:市議) 委員に選考された学生は2人で、この2人は同じ大学の学生です。そして、学識経験者枠の委員には、その2人が在籍している大学の教授もいらっしゃいます。検討委員会の中で何かしらの協議内容を委員会意見としてまとめるための審議、採決をするときに、同じ大学の学生、そして教授という立場で、何かしら影響が出るという懸念は、選考段階において考慮されましたでしょうか、お教えください。

(子ども未来部長) 学生委員の選考に当たっての影響についてのお尋ねでございます。
 私どもが学生委員の選考に当たりまして最も考慮いたしました点は、会議出席に当たって積極的な発言を期待したいとの思いから、学生さん自身が日ごろから子供に関する活動やまちづくり活動などに参加をし、そういった活動を通じて自分なりの意見をしっかり持っているかといった点でありまして、そういった観点から、現在御就任いただいております2名の学生さんを選考したものでございます。
 私どもといたしましては、学生の参加を求める中で、委員に就任していただいた先生方が勤務している大学の学生を排除することは、対象となる学生の選考範囲を狭めることになるものと考え、所属する学校にとらわれず選考したところでありまして、委員の皆様におかれましては、それぞれ御自分の置かれている立場の中で御発言をいただけるものと考えております。
 以上でございます。

(質問者:市議) 特に影響はないというお考えでいいかと思います。
 それでは、続けてお伺いいたします。
 函館市子ども条例制定検討委員会のこれまでの2回の開催において、委員会の開催趣旨としてどういう内容を検討し、主にどういう意見が出されたのかを御報告ください。

(子ども未来部長) (仮称)函館市子ども条例制定検討委員会の会議内容についてのお尋ねでございます。
 7月27日に開催した第1回の会議では、正副委員長の選出や委員会の運営方法、条例制定に向けての市としての考え方や、市の総合的な子育て推進のための計画である次世代育成支援後期行動計画について説明するとともに、今後の委員会の進め方について協議をしたところでございます。
 また、8月28日に開催した第2回目の会議では、既に子供に関する条例を制定している中核市や、昨年度先進地調査を実施いたしました市や特別区の条例内容について資料を提出し、説明したところでありまして、市が制定を予定している条例の方向性につきましては、目的を明確にすることが大切であるとか、条例の制定が子供の施策の充実につながるようにすべきであるなどの意見があったところでございます。
 なお、検討委員会は、今年度はあと4回ほど開催する予定でおりますので、今後より具体的な議論がなされるものと考えております。
 以上でございます。

(質問者:市議) ありがとうございます。
 今後どのような段階を経て、どのくらいの期間をもって検討委員会が開催されるのか、段階とスケジュールを交えてお教えください。

(子ども未来部長) 条例制定までのスケジュールについてのお尋ねでございます。
 今年度につきましては、どのような考え方に基づいて制定するのかといった条例の方向性について、検討委員会で検討をしていただくこととしております。また、条例の方向性が定まった後に、次の段階といたしまして、平成25年度には条例に盛り込む具体的な内容について検討を進めていただき、平成26年度には検討委員会でのそれまでの議論を踏まえ、子ども条例についての検討委員会としての提言を提出していただきたいと考えております。
 市といたしましては、検討委員会での検討期間はおおむね2年程度を予定しているものであり、その後パブリックコメントの実施や議会の御意見なども伺いながら、成案化してまいりたいと考えております。
 以上でございます。

(質問者:市議) ありがとうございます。今いただきました2つの質問への答弁を合わせますと、まず現在は、資料などを事務局である子ども未来部から検討委員会に配付して、より深く議論するための説明段階であるかと思います。
 ちなみに私が今手に持っておりますこちらの資料なんですけれども、こちら第1回の検討委員会において配付されたものなんですが、これは国連の児童の権利に関する条約、または子どもの権利条約と呼ばれております。これを和訳したものなんですけれども、片やこちらも同じ条約を和訳したものなんです。この2つの訳にあらわされている内容には、実は大きな隔たりといいますか、差があります。
 こちらの検討委員会で配付された資料におきましては、例えば第13条なんですけれども、「子供は、自由な方法でいろいろな情報や考えを伝える権利、知る権利を持っています。ただし、ほかの人に迷惑をかけてはなりません。」という内容になっております。要するに、人に迷惑をかけない限り、どのような方法で情報発信してもよいし、知ることも権利として持っているという内容です。
 片やこちらですね、同じ第13条を和訳したものなんですけれども、同じところに書いてある、これ直訳ですね。「1、児童は表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書きもしくは印刷、芸術の形態またはみずからの選択する他の方法により、国境とのかかわりなくあらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。2、1の権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は法律によって定められ、かつ次の目的のために必要とされるものに限る。A、他の者の権利または信用の尊重。B、国の安全、公の秩序または公衆の健康もしくは道徳の保護。」。
 この差は、要するにこちら直訳されているものは、法律に定められている制限のほかに、安全や秩序、道徳に反するものである場合は、その権利にさらに制限を課すことができるという内容が明記されています。同じ条約の直訳と抄訳による差ですね。
 ちなみにこちらの配付された資料、これは日本ユニセフが訳したものなんですが、これは抄訳であります。内容をかいつまんで、意訳したものととらえていただいていいかと思います。もう一つの私が先ほど直訳と申し上げましたのは、こちら、外務省による直訳です。
 検討委員会で配付されましたこの日本ユニセフのウエブサイトを見ますと、子供向けと書いてあります。わかりやすく説明したいという意図は大変よくわかるんですけれども、大人の出席する会議でありまして、また検討委員会での検討の材料になる大事な資料でありますので、これはあくまで要望なんですけれども、できれば原本に近い内容で資料配付をしていただけたらなと思います。よろしくお願いいたします。
 また次に、再びただいまの答弁に戻ります。
 今年度中は全6回の開催予定で、その6回を通じて方向性を見出すとのことです。一方、ある団体から子ども未来部長は子ども条例についての講演をするよう依頼をされ、またお引き受けになっていらっしゃるようです。10月中に開催予定の講演会におきまして、検討委員会の開催は現在でまだ2回、方向性がまだ定まっていない中、この講演会において部長は子ども条例についてどのような方向性のお話をなさる御予定でいらっしゃるのか、お伺いいたしたく思います

(子ども未来部長) 子ども条例に関する講話にかかわってのお尋ねでございます。
 このたびのお話は、10月に予定されているものでございますが、子供をテーマとした勉強会であるとのことでございましたので、子ども未来部の業務内容と、それから現在取り組んでいる子ども条例に関して、その検討状況等につきましてお話をすることにより、広く市民の皆様に対してPRですとか意識喚起ができればと思い、お引き受けをした次第でございます。
 子ども条例につきましては、さまざまな御意見があることは承知しておりますが、検討委員会の協議もまだ始まったばかりでございます。条例の方向性や盛り込む内容がどのようなものになるかは、今後の議論をまたなければなりませんが、私といたしましては、条例の検討に当たっては、何より函館の子供たちの健やかな成長を専一に考えることが重要であり、思想信条の枠を超えて、多くの市民が理解し共有できる内容と言葉が必要であると考えておりますので、さまざまな機会をとらまえて市民の御意見に耳を傾けるとともに、意識喚起を促してまいりたいと考えているところでございます。

(質問者:市議) ありがとうございます。子ども未来部の活動内容、またイデオロギーにとらわれない検討内容の大事さを伝えていくということで御答弁いただきました。ありがとうございます。
 それでは、済いません、市長にお伺いしたいことがあります。
 子ども条例は、子供の健やかな成長を願っての条例であるかと思います。ではありますが、昨今全国において大きく、件数にしてもメディアで取り上げられる回数が増加したように、いじめが原因でみずから若い命を失う、あるいは函館でも過去にありましたように、いじめがエスカレートして、果てに命を奪われる事件などがあるかと思います。
 先ほど松宮議員や教育長などもおっしゃっておりましたように、日ごろから目を配りながら、日常の中でケアしていくにこしたことはございませんが、一方で一方的に命にかかわる危害を加えられる虐待などもあります。
 これも函館でありましたが、暴力を受けて、その暴力を受けていた家族を守るために、少年が暴力を振るっていた加害者を殺害してしまうなど、痛ましい事件が身近で起こっていることを考慮すれば、子ども条例の健やかな成長を願うという理念とともに、いじめの状況に応じた対策を講じるいじめ対策条例、加えまして虐待による重大な被害を未然に防ぐための虐待防止条例などの類いに着手することも大事だと私は考えております。私はそのように思うのですが、市長、これに対する御見解などをよろしくお願いいたします。

(市長) 個別の虐待あるいはいじめの防止条例というようなお話でございます。
 私は、前にもこの子ども条例について○○議員と議論を交わしたことがあるわけで、そのときに私自身は、虐待とかいじめだとかという問題があると、そういうものについて地域として全体で子ども条例というものをつくる中で、そういうものの防止策も含めて検討して、子供たちがたくましく生きる、そういう力を身につける環境を整えるということを申し上げたわけであります。
 それで、今、子ども条例の中身については、これは市民の皆さんの検討委員会の中で議論をされていくことになりますから、そういったいじめあるいは虐待についての個別の条例がいいのか、子ども条例の中でそういうものを取り組んでいくほうがいいのか、そういうものも含めて御議論をいただければというふうに思うわけであります。
 子ども条例の中から、いじめや虐待に対するものを除いたら、じゃあ何が残るのかというようなことにもなっていくわけでありますから、その辺の整合性も含めながら、全体的な御議論をいただければというふうに思っているところであります。

(質問者:市議) 御答弁ありがとうございます。
 私といたしましては、子ども条例の位置づけは、健やか、健全な子育ての環境を整えるという趣旨にあるかと思いまして、いじめや虐待などはちょっと別個にあるかと思っているところなのであります。そして、また早急な手だてが必要かとも思っておりますが、子ども条例の中にそれを取り込むかどうかも含めて、今後の検討となるということで御答弁いただきました。ありがとうございます。
 それでは、子ども条例に関しましては以上にいたします。私も今後、子供たちが犯罪、育児放棄、また一部の人間が抱える不満の矛先になるいじめなど、周囲の悪意に翻弄されることなく、健全に育つことができる環境づくりにしっかりと目を向けていきたいと思います。ありがとうございます。





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