函館市議会平成23年9月定例会での議論

 前回、7月の予算特別委員会での議論を見てみましたが、今回は9月の定例会での議論を見てみたいと思います。

 7月の予算特別委員会では、福祉部が「当市で検討していく子ども条例は、広い観点から子供たちの健やかな成長を図り、幸せに暮らすことのできる地域社会の実現を目的とするものであります」と答弁していましたが、9月の定例会では市長が「市民みんなで、子供をいかにして未来に向かって希望を持って生きられるような環境を整えてあげるかということを考えるということで、私は子ども条例を提案しているわけでありまして、御指摘の権利権利だと、子供の権利だけだということで考えているわけではありませんし、場合によっては、したがって、私、権利条例という名前を使ってないわけでありますから、総合的に考えていく。」と答弁しています。

 「御指摘の権利権利」というのは市議の質問を受けてのものですが、今回慎重・反対の立場から質問した市議は、このブログでもこれまでご紹介してきました、川崎市川西市の事例、更には生徒人権手長の事例を取り上げて質問を展開しており、それに対して「子供の権利だけだということで考えているわけではありません」と答弁したようです。

 「権利条例という名前を使っていない」という答弁については、当初の公約にあった「子どもの権利条例」という名称が選挙前に「子ども条例」に変わったことについて、拙ブログでも紹介させて頂きました。

 一方で子どもの権利条例を推進する立場の市議は、国連の児童の権利条約の理念に沿った条例が必要と述べていますが、福祉部では7月同様に「現在、策定に向けた検討を進めております子ども条例につきましては、広い観点から子供たちの健やかな成長を図り、幸せに暮らすことができる地域社会の実現を目的とするものであります」と答弁しています。

■平成23年第3回9月定例会

○9月12日
(質問者:市議)
 (前略)そして、大綱の2点目でございます。
 先回の定例会におきまして、予算づけされました子ども条例の調査費でございます。
 この子ども条例、児童の権利にかかわる条例などにつきましては、全国で今約30カ所ぐらい制定されたところがあります。その中においても、賛否が分かれるところでありまして、これらを函館市がこれから制定を目指すというお話でございますけれども、その参考とする場所、前回の予算特別委員会の中では2カ所ほど見ていくというお話でしたけれども、その場所の選定の仕方についてお伺いしたいと思います。(後略)

(市長)
 (前略)大綱の2点目、(仮称)子ども条例調査対象地にかかわる御質問につきましては、福祉部長よりお答えをさせていただきたいと思います。(後略)

(福祉部長)
 (前略)続きまして、大綱の2点目の子ども条例にかかわりまして、訪問調査についてのお尋ねでございますが、現在、いわゆる子どもの権利条例に限定することなく、子供に関する条例を既に制定済みの都市28市を抽出いたしまして、制定に至った経緯や策定過程における住民意見の聴取状況、制定後の効果などについて、文書による調査を行っているところでございます。
 訪問調査の実施に当たりましては、その調査結果の分析を行った中で、参考となる都市を選定をしてまいりたいと、このように考えているところでございます。(後略)

(質問者:市議)
 (前略)それでは、第2点目、子ども条例の調査に関するものでございます。
 私、これも前回の定例会の中で質問させていただきました部分と少し重なるところがございます。
 理想のところではありますけれども、私、社会は全員で支えていくものだと思っております。その社会に出る前段に当たりまして、子供の教育というのは物すごく大事なものだと私踏まえております。その子供の教育というのはまさしくしつけであります。子供は、私も小さいころそうでありましたけれども、自分自身がいかに楽しくいようか、あるいは自分自身が何かちょっと出来心で悪いことをしたときにどうやったら怒られずに済むかなどを考えてしまうんです。
 ただ、その子供たちが社会に出る前段に当たりまして、社会性を養う、また思いやりを育てるという意味では、親の教育、しつけが必要になってまいります。
 (中略)
 なお、この子ども権利条例、各地でいろんな例がございます。これは賛否が分かれます。当然権利を与えるものですので、成功しているというか、実に参考になるところもございますが、またちょっと痛々しい状況のところもございます。その一例、少し紹介させていただきたく思います。
 この子ども権利条例、子ども条例ではなく、権利が入った子ども権利条例、神奈川県川崎市が先駆けとなっております。神奈川県川崎市における事例においても、このようなことがございました。読み上げます。川崎市人権オンブズパーソン平成15年度報告には、ある公立小学校で、授業中に立ち歩き、おしゃべりを行った児童に対して体罰に当たらない指導を行った教師が人権侵害と認定され、保護者に謝罪した事例が載っている。教師として当然なすべき指導さえもが人権侵害として禁じられてしまえば学校は無秩序化するしかない。このように、権利というものを、例えば制定しているだけなら大して影響はございません。その権利を保障されている子供自身が権利を主張した場合、しつけというものができなくなってしまいます
 また、この権利条例、ほかの土地の例でございますけれども、こういう例もございます。家庭内プライバシー権、子供が自分が内緒にしたいことを内緒にしておける権利です。何か手元に社会的に悪いもの、持っていたとします。子供は自分の部屋に閉じこもったまま、それを見せなくていいんです。これは家庭内プライバシーだと。親がそれに対してしつけをしたくてもできないんです。権利を保障されているがために。
 また、ほかの一例も挙げさせていただきます。こちらは兵庫県のある中学校で、授業態度を注意した教諭に反抗したり暴言を吐いたりした生徒に対し、ほかの生徒の妨げとなるため別室で指導したところ、オンブズパーソンが生徒の権利が保障されていないと勧告し、また是正を求めていったということでございます
 私自身、これはあくまで私の考えでございますけれども、この条例自体、制定する必要が本当にあるのかと疑問に思っております。なぜかと申しますと、子供を守ると申しましても、我が国の憲法におきましては、生存権が憲法第25条で保障されております。また、基本的人権の尊重ということで憲法第11条、また第13条においてもそれを保障されております。片や、憲法第12条では、その基本的人権がむやみに乱用されないようにという抑制をかけられております
 (中略)
 子供に権力を与えることによりまして、教育の場が乱れていくことが大変心配なのであります
 私が10年間暮らしておりました埼玉県所沢市の高校、生徒会室にこういうものがあります。タイトル、生徒人権手帳といいます。このサブタイトル、びっくりしますよ。私はびっくりしました。「生徒手帳」はもういらないって書いてます。これ、生徒会室にバイブルとしてあるそうです。「生徒手帳」はもういらない。生徒手帳には何が書かれていますか。学校の大事な校則でございます、規律でございます、風紀でございます。それはもう要らないと書かれているんです。この生徒人権手帳、中身、私が注目するところだけちょっと読み上げさせていただきます。
 1、自分のことは自分で決める権利。この中に、細かい項目があります。子供に権利を与えるということ、そしてその子供が権利を主張するということでは、必ずしもみんながこうするわけではありませんが、こういうことも可能になってしまうということでお聞きください。飲酒・喫煙を理由に処分を受けない権利。いかなる物でも教師に没収されない権利。たばこを持っていても、ナイフを持っていても、没収されないということです。つまらない授業を拒否する権利。自分自身がありのままでいられるという権利ですね。また、体罰を受けない権利。これは全くいいと思います。その中にあります。集団行動訓練を拒否する権利。今、私ども震災の後で防災が大事だと、これらをみんなに広めていきたい、しっかり定着させたいという意味でやっている防災訓練も、ああだるいなということで受けなくてもいいということです。また、その後、行事への参加を拒否する権利。遅刻しても授業を受ける権利。遅刻をしても授業を受けることは私はいといません。いろんな事情があると思います。特に、北海道は雪道ですから、車がちょっと雪にはまりましたと、送ってもらうときに、また、病院に行って遅刻しました、そういう方は受けていいと思います。ただ、ただ単にずるずると朝面倒くさいなというところでだらしなく教室に入ってきて、みんながまじめに授業を受けているところにがらっと入ってきて、権利がありますから授業受けさせろと。それを許す人もいるかとは思いますけれども、そういう態度が風紀を乱すことは私は懸念いたします。また、成績によってクラス編制をされない権利。これ特進クラスとかそういうものを差別だということですね。成績の発表を拒否する権利。これ通信簿の発行にかかわります。また、家庭訪問・家庭調査を拒否する権利。続けます。何か不都合をした場合にでも学校に連絡されない権利。外で万引きとかそういうものをしても、家庭には通報されない、それを権利として主張する。家に電話するぞ、いやそれはだめです、権利の侵害ですと、それを妨げられます。その悪いことをした反省や更正にかかわってまいります。など、このような権利の主張が、権利を法令で保障するとできてしまうわけです。
 私は、先ほど申しましたとおり、子供を守るには、子供に権利を与えるのではなく、これはあくまで私の考えでございます、権利を与えるのではなく、大人の保護の目線を愛情深くこれからも注入し、また大人たちが責任を持って地域で子供たちを守るという、そういう姿勢で賄われていくと思っております。
 ですので、子ども条例、私自身は正直必要はないんじゃないかと思いますけれども、調査費もついておりますので、制定するのであれば、ぜひ先駆けとなった土地、またその反対に失敗した、あるいは廃案となってしまったところをぜひ参考にしていただきたいと思います。(後略)

(市長)
 (前略)
 さまざまな子供にかかわってのいじめや虐待ということが現実にあります。子供たちが必ずしも健やかに育つ環境にないケースも多々見られるわけであります。私は、子供たちがどんな環境あるいは家庭にあっても、やっぱりきちっと希望を持って生きていただく、いける、そういう環境をつくり出していく、そして育てていくということが非常に大事なことだというふうに思っているところであります。
 今の日本の現状を考えると、昔の私たちが子供のころに比べれば、世帯の力、家族の力というものが非常に弱体化をしております。これは一方で高齢化が進んで高齢者のみの家庭がある。一方で、子供がいるけども、昔のような大家族でなくて、しかも子供の数も少なくなって、夫婦に子供1人とか2人とか、3人家族、4人家族ということで、子育ての経験のない人たちだけで子育てをしているような家庭が多くなっているわけです。昔は、おじいちゃん、おばあちゃんだとか、あるいはおばさんがいたり、おじさんがいたりという中での子育てでもあったわけであります。
 そういう中でいろんなことが起きて、私は家庭の力、世帯の力が落ちている、それを補うのは地域の力で補っていかなきゃならない。しかし、地域自体も、おのおのの小さい単位での地域というのはこれから弱体化をしていきます。高齢化が進んできますから、30%、将来的には40%、50%という時代が来るわけです。そうすると、まち全体の力、都市の力というものでそれを補っていく必要がある。家庭にだけすべてを任せておく、子供の育成も家庭だけ、家庭に任せておけばいいんだと、親に任せておけばいいんだという方が結構いらっしゃるんですが、それが、じゃあ今実態としてすべてうまくいっているかというと、いってないわけでありまして、それが先ほど申し上げたように家族の力が落ちてきているからなんです。
 そういう中で、国政の場でも、私はきちっと子供省というようなものをつくって、もうやる時代に来ているんじゃないのか。一方で文科省だったり一方で厚生労働省だったりという縦割りの中で、さまざまな弊害が起きてもきている。したがって、先ほどいろんな法令があるからそれで守られているんだというお話を○○議員されてましたけども、私は、必ずしも機能的に総合的な対策として子育てなり子供の健全育成ということが行われているという認識には今ありません。
 函館市においても、教育委員会だったり福祉部だったりという問題もあるわけであります。そういうことを考慮しながら、市民みんなで、子供をいかにして未来に向かって希望を持って生きられるような環境を整えてあげるかということを考えるということで、私は子ども条例を提案しているわけでありまして、御指摘の権利権利だと、子供の権利だけだということで考えているわけではありませんし、場合によっては、したがって、私、権利条例という名前を使ってないわけでありますから、総合的に考えていく。
 ただ、私たちが子供のときも、正直言って校則どうなんだという議論いっぱいしましたよ。小学校のときも中学校のときも。私も的場中学校だったんですけど、当時校則で中部はげた履きよかったんですが中学校だめだったんですよ。何で高校生いいものが我々だめなんだというような議論もしましたし、あるいは制服もどうなんだという議論もしました。子供であろうと、そういう議論ということは必要だと思っています。単なる権利ではなくて、自分たちの考えの中でいろいろ行動し主張することは、私は必要なことだと思っております。
 そういう観点から、子ども条例というものを私自身は検討してまいりたいと考えているところであります。

○9月13日
(質問者:市議)
 (前略)大きな3つ目は、子供に優しいまちづくりについてです。
 私がこのテーマで繰り返し質問してきた理由は、函館市にとって子どもの権利条約の理念に沿った条例がどうしても必要であり、そのことが子供に優しいまちづくりにつながると考えるからです。
 子どもの権利条約は、子供の基本的人権を国際的に保障するために定められた条約です。18歳未満を子供と定義し、国際人権規約が定める基本的人権をその生存、成長、発達の過程で特別な保護と援助を必要とする子供の視点から詳しく説明しています。
 1989年の第44回国連総会において採択され、1990年に発効、日本は1994年に批准しています。いよいよ函館市にとって子供に関する条例の検討に入りました。今後調査を含め、大きな議論をしていく過程において一番大切なこと、それは子供たちの実態をしっかりと把握するということだと思います。
 そこで、何点か質問いたします。
 1点目、函館市が2007年──平成19年から実施している子どもなんでも相談110番の相談件数や相談内容、また児童虐待に関する件数はどのくらいなのか、お聞きいたします。
 2点目、小学校、中学校の実態を教育長にお聞きいたします。
 就学援助の対象者の数をお知らせください。
 3点目、小・中学校で経済的理由で修学旅行を欠席した生徒の人数をお知らせください。
 4点目、学校におけるいじめの件数とその対策について。
 5点目、学校における人権教育についてどのように行われているのか、お聞きいたします。
 次に、子どもの権利条例についてです。
 私は、今函館市で制定しようとしている条例については、子どもの権利条約の理念に沿った条例が必要と考えています。また、子供の実態を把握した上で策定することが重要だと思いますし、子供の声も含めた多くの市民からの意見を十分聞いて策定すべきと考えますが、その方法をどのようにお考えか伺います。
 今、子供に関する施策が福祉部や保健所、教育委員会など各部局にわたっていますが、子供の専門部をつくるべきと考えますが、いかがでしょうか、市長にお聞きいたします。
(後略)

(市長)
 (前略)私からは、子どもの権利条例にかかわりまして、子供施策を集約する組織の設置についてのお尋ねでございますが、現在子供に関する施策については、福祉部子ども未来室を初め、子供に関する医療助成を担当しております市民部、母子保健を担当しております保健所、青少年健全育成、幼稚園就園児への助成などを担当する教育委員会などに分かれており、それぞれが連携をしながら施策の展開を行ってきているところであります。
 近年において核家族化、少子化、子育ての孤立化、児童虐待、発達障がいなどの子供に関する課題が顕在化している状況にありますことから、出生から青少年までの幅広い分野の施策について、総合的に推進できる体制が必要であると考えているところでありまして、現在子供に関する施策を担当する組織を集約し、仮称ではありますが、子ども未来部の設置を検討しているところであります。(後略)

(福祉部長)
 (前略)子どもに優しいまちづくりについて、私から2点御答弁をさせていただきます。
 まず、子どもなんでも相談110番の相談件数や内容などについてのお尋ねでございますが、この窓口はゼロ歳から18歳までの子供に関するあらゆる相談を受け付けておりまして、平成19年10月に開設してから間もなく4年になろうとしておりますが、その内容は子育て、障がい、病気、学校、家庭内の問題、さらには児童虐待など非常に多岐にわたっております。
 ここ3年間の実績を見ますと、全体の相談件数は平成20年度は350件、平成21年度は327件、22年度は356件とおおむね同じ程度で推移をしておりますが、その主な相談内容を見ますと児童虐待に関するものが最も多く、次いで不登校の相談、育児、しつけの相談などが多くなっているところでございます。
 なお、この児童虐待に関する相談件数につきましては、平成20年度は77件、21年度は89件、22年度は109件と増加している状況にございます。
 続きまして、子ども条例の策定に当たっての市民意見の聴取方法についてのお尋ねでございます。
 現在、策定に向けた検討を進めております子ども条例につきましては、広い観点から子供たちの健やかな成長を図り、幸せに暮らすことができる地域社会の実現を目的とするものでありますので、当市の子供たちにかかわるさまざまな実態をとらえた上で策定作業に当たる必要があるものと考えております。
 こうした実態を把握するための市民意見の聴取方法については、策定検討委員会等を設置し、その委員として市民に参画いただくことや、市民の意識等を把握するためのアンケート調査の実施、関係団体や市民を対象とした懇談会やフォーラムの開催など、幾つかの取り組みが想定されるところでありますが、現在実施中の他都市に対する調査におきまして、こうした住民意見の聴取状況についても調査項目としておりますので、その結果を分析しながら、当市における必要な取り組みについて検討してまいりたいと考えております。(後略)

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