夫婦別姓に関する世論調査 その3

 内閣府の「家族の法制に関する世論調査」が5年ぶりに実施され、その結果が内閣府HPに公表されました。

 家族の法制に関する世論調査
 
 この結果について新聞各社は次のように報道しています。

夫婦別姓「法改正構わない」…容認派42・5% (読売新聞 平成30年2月10日) 

 選択的夫婦別姓の導入について、「法改正しても構わない」とする容認派が42・5%に上り、前回2012年調査から7・0ポイント増加した。「改正の必要はない」との反対派は前回調査から7・1ポイント減の29・3%だった。
 調査は1996年から始まり、今回で5回目。夫婦別姓容認派の割合が過去最高となった。前回調査では反対派(36・4%)が容認派(35・5%)を上回っていた。
 ただ、容認派で法改正が実現した際に夫婦別姓を「希望する」と答えた人は19・8%にとどまり、「希望しない」が47・4%だった。選択的夫婦別姓を巡っては、法制審議会(法相の諮問機関)が96年に導入を答申したが、反対意見も根強く法案提出には至っていない。


選択的夫婦別姓「容認」4割超 「必要ない」は3割切る (朝日新聞 平成30年2月10日) 

 内閣府の家族と法制度をめぐる世論調査で、夫婦別姓を選べる「選択的夫婦別姓制度」を導入してもよいと考える人の割合が過去最高の42・5%だった。導入する必要はない、と答えた人は過去最低の29・3%。ただ、政府は「国民の意見が大きく分かれている」として制度の導入に慎重な姿勢だ。
 制度をめぐっては法制審議会(法相の諮問機関)が1996年に導入を答申したが、法改正のめどはたっていない。調査は全国の18歳以上から無作為抽出した5千人を対象に面接で実施した。回収率は59%。
 調査結果によると、質問は三択で、制度を導入してもよいと答えた人は過去最高の42・5%。前回2012年の35・5%から7ポイント増えた。これまでの最高は01年の42・1%。導入の必要はないと答えた人は29・3%で前回の36・4%を7・1ポイント下回った。「夫婦は同姓を名乗るべきだが結婚前の姓を通称として使用できるよう法改正してもよい」と答えた人は24・4%だった。制度容認派のうち19・8%は自分も結婚前の姓を名乗りたいと回答した。
 年代別にみると60歳未満は容認派が5割前後だったのに対し、70歳以上は容認は28・1%で不要が52・3%に上った。性別では、男性は容認42・5%、不要30・4%、女性は容認42・5%、不要28・3%と、大きな違いはなかった。


夫婦別姓、賛成42%、反対上回る 内閣府世論調査 (産経新聞 平成30年2月10日) 

 内閣府は10日付で「家族の法制に関する世論調査」の結果を公表し、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた法改正について賛成が42・5%に達し、反対の29・3%を上回った。世代別でみると、男女とも60代以下は賛成が多数だが、70代以上は反対が52・3%と過半数を占め、世代間の意識の違いが浮き彫りになった。
 選択的夫婦別姓は夫婦が望む場合には、結婚後もそれぞれ結婚前の名字を名乗ることを認める制度。平成24年の前回調査は法改正に反対が賛成をわずかに上回っていたが、今回は賛成が前回比7・0ポイント増となり、賛否が逆転した。法務省の担当者は調査結果を踏まえた夫婦別姓について「国民の意見はなお大きく割れている」としている。
 また、「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが、旧姓を通称として使える法改正は容認する」との回答は24・4%だった。内縁関係にある夫婦については同じ名字を名乗らなくても「夫婦と同じような生活をしていれば、正式な夫婦と変わらない」との回答が74・6%で過去最高となった。
 調査は昨年11~12月に18歳以上の男女5千人を対象に実施した。回収率は59・0%。



 実際の世論調査の夫婦別姓に関する項目は下記のようになっていて、容認或いは賛成と報道されている項目も、「名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」という選択肢で、改めるべきであるという選択肢ではありませんし、また、旧姓使用についても前段には「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべき」とあって、基本的には別姓には反対という選択肢になっています。

(ア)婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない

(イ)夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない

(ウ)夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについては、かまわない


 このような夫婦別姓に関する内閣府の世論調査は、平成8年、13年、18年、24年と実施されていますが、18、24、29年の数値を比べてみますと、下記のようになり、前回こそ「改める必要がない」が「改めてもかまわない」を若干上回りましたが、全体的には「改めてもかまわない」が増えていることがわかります。それでも、旧姓使用ならかまわないという回答と合わせると半数以上が夫婦別姓の法改正には反対であることがわかります。

(ア)35.0→36.4→29.3 (イ)36.6→35.5→42.5 (ウ)25.1→24.9→24.4

 また、前回平成24年に実施された際には、結果を受けて読売新聞と産経新聞でも夫婦別姓に関するアンケートを実施していますが、その結果は下記の通りでした。どちらも内閣府の世論調査とは違い、二者択一方式のため、圧倒的に反対が多くなっています。

◇読売新聞アンケート

設問 : 内閣府が昨年12月に実施した世論調査では、「選択的夫婦別姓」導入に向けた民法改正について「改正してもかまわない」が35.5%、「法改正の必要はない」が36.4%でした。あなたは、選択的夫婦別姓に賛成(Yes)?反対(No)?

 結果 : YES 22% NO 78%

◇産経新聞アンケート

設問 : 内閣府の調査によると、婚姻時に同姓か別姓かを選べる選択的夫婦別姓制度導入のための民法改正について、「必要ない」とする反対派が36.4%となり、平成8年の調査以来、再び容認派を上回りました。そこで
(1)選択的夫婦別姓制度に賛成ですか
(2)旧姓を通称として使用できる法改正があれば選択的夫婦別姓は不要ですか
(3)夫婦別姓にすると家族の一体感が薄れますか

 結果 (1)賛成29% 反対71%
     (2)不要60% 必要40%
     (3)薄れる70% 薄れない30%


 夫婦別姓については、平成27年に最高裁大法廷が、夫婦同姓を定めた民法の規定について合憲の判断を下していますが、現在も、外国人の結婚の場合には同姓か別姓かを選択できるのに日本人同士の場合では別姓が選べないのは法の下の平等に反するとして訴訟が起こされていますし、内閣府でも調査を続けていますので、今後も注視していきたいと思います。

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