高知県こども条例改正

 平成16年に制定された高知県こども条例は、当時都道府県においては始めての子どもの権利条例として注目されていましたが、高知県議会平成24年12月定例会において改正されました。平成16年制定の条例と、今回改正された条例については下記に掲載いたしますが、内容的には権利条例から健全育成条例に変わっています。

 高知新聞の報道によれば、子どもと教育を守る高知県連絡会や共産党などの反対の中、県議会自民党が全文改正案を提出して採択まで持ち込んだようです。一度制定された条例を廃止して制定し直した例として千葉県市川市の男女共同参画条例がありますが、同じように、内容的にここまで直すのは大変なことだったと思います。


◇高知県こども条例改正案提出へ 自民「高い規範意識」強調 (高知新聞 平成24年12月6日) 
 「県こども条例」に基づく事業の効果などを疑問視してきた県議会最大会派の自民党は、「子どもに対する県民の責務」や「高い規範意識」などを盛り込んだ条例の全文改正案を12日に開会する12月定例会に提出する。5日の議会運営委員会で説明した。現行条例の策定には延べ数千人の県民が関わっており、県議会独断の改正の是非も含めて論議を呼びそうだ。

◇議論必至 こども条例改正 高知県議会12月定例会に提出 (高知新聞 平成24年12月16日) 
 高知県議会12月定例会に、自民党から「県こども条例」の全文改正案が提出された。子どもの健やかな成長を願い、延べ数千人の県民が関わって8年前に策定された経緯があるだけに、立場を異にする会派間で議論になるのは必至。条例づくりに携わった県民からは、子どもをめぐる条例が政治の場で揺れること自体に懸念の声も上がっている。

◇高知県こども条例改正案 一般質問で自民議員が答弁 (高知新聞 平成24年12月18日) 
 県議会12月定例会の一般質問初日の17日、自民党が提出した「県こども条例」の全文改正案について、吉良富彦氏(共産党)と田村輝雄氏(県民クラブ)が改正の意義や手続きをただした。答弁には自民党議員も登壇した。

◇子ども守る連絡会 改正反対アピール (高知新聞 平成24年12月18日) 
 「子どもと教育を守る高知県連絡会」(棚野美佳・世話人代表)は17日、県こども条例改正に反対するアピールを発表した。県議会最大会派の自民党の改正案が、子どもの権利を書いた条文を削除している点などを問題視している。

◇高知県こども条例改正へ 県議会文化厚生委 (高知新聞 平成24年12月22日) 
 高知県議会12月定例会の文化厚生委員会は21日、自民党提出の「高知県こども条例」の全文改正案を審査。現行条例を評価する共産党委員は「まるで質が違う。これでは大人条例」と反対意見を重ねたが、「現行条例の精神を受け継ぐことから改正はスタートしている」とする自民党委員との議論は平行線。結局、改正案は共産党を除く賛成多数で可決され、本会議でも可決は確実になった。

◇高知県こども条例改正反対 子ども守る連絡会 (高知新聞 平成24年12月26日) 
 県議会12月定例会で全文改正される見通しの県こども条例について、改正に反対する集会が25日、高知市役所前で開かれた。元教員ら約60人が参加。「継続審議か、改正案の否決を強く求める」とするアピールを採択した。


◆これまでの条例
http://web2.pref.kochi.jp/~seisakuhousei/reiki/act/frame/frame110001817.htm

高知県こども条例をここに公布する。

○高知県こども条例
(平成16年8月6日条例第35号)

高知県こども条例

目次
第1章 はじめに(第1条-第4条)
第2章 自分を探す(第5条-第8条)
第3章 夢を持つ(第9条-第12条)
第4章 自分を表す(第13条)
第5章 地域で育つ(第14条-第16条)
第6章 未来を創(つく)る(第17条-第20条)
第7章 その他必要なこと(第21条)
附則

 こどもは高知県の未来です。一人一人のこどもが主人公として、自分自身を探し求め、夢を持って幸せに育っていくことは、県民の願いであり、これからの高知県の豊かな未来を築いていくための重要な課題です。
 そのためには、まず、日本国憲法や児童の権利に関する条約などの理念を踏まえて、こどもの人権が守られなければなりません。もちろん、こどもも社会の一員としての役割を自覚し、社会のルールや他の人の人権を守ることが必要です。しかし、なにより、社会や大人が、こどもを一人の人間として認めることが出発点になります。
 こどもが幸せを感じ、豊かに育っていける社会は、同時に、人と人とがうまくつながりあえるような温かい社会でもあります。このような社会をつくるためには、大人とこどもがきちんと向き合い、知恵を出し合い、失われつつある人と人とのつながりや、地域のつながりを取り戻すことが必要です。
 この条例づくりの過程には、多くのこどもと大人が参加し、長い時間をかけてそれぞれの思いを集め、大きな力となるひとつの形にしてきました。
 この条例を活(い)かすのは、県民である、こどもと大人一人一人であり、こどもが健やかに育っていくための取組を県民みんなで進めていくことが大切です。
 一人一人のこどもが、幸せで、豊かに育ち、自分の人生の主人公でいられることを大人が支援し、こどもが高知県で育って良かったと感じられるような社会を築くためにこの条例を制定します。

第1章 はじめに

(めざすもの)
第1条 この条例は、高知県の未来を担うすべてのこどもが、自ら考え行動し、夢や希望を持ち続け、自然や郷土を愛し、心豊かに健やかに育つことを目的とします。

(この条例が定めるもの)
第2条 この条例は、前条の目的を達成するための基本的な考え方を県民全体で共有し、こどもが健やかに育つ環境を整えるための取組を総合的かつ計画的に進めていくことを定めたものです。

(こども)
第3条 この条例において「こども」とは、18歳未満のすべての者をいいます。

(大切にしたい考え方)
第4条 こどもは、どんな立場、条件、状況の下で育っていても、この条例の主人公であり、だれでも一人の人間として、その人格や個性が尊重されます。
2 こどもは、自分自身を大切にし、他の人も大切にしなければなりません。この場合において、お互いの権利の行使が制約されることがあります。
3 だれも、こどもの人格や個性の成長を妨げるようなことをしてはいけません。


第2章 自分を探す

(あるがままで愛される)
第5条 こどもは、性格、能力、外見、性別、年齢等にかかわらず、社会の大切な一員としてだれからも愛され、受け入れられます。


(学ぶ)
第6条 こどもは、幸せに育つために、たくさんのことを学ぶ権利を持っています。こどもは、その成長に応じて、どこで何を学ぶか等広く選択でき、失敗しても何度でも学び直すことができます。


(有害な環境から守られる)
第7条 こどもは、幸せに育つために、その妨げとなる児童虐待をはじめ、身体的及び精神的に有害な環境に直面している場合は、その環境から守られることができます。


(自分の権利を知る)
第8条 こどもは、自分が持っている様々な権利について、正しく学び、知る権利があります。


第3章 夢を持つ

(夢を持ち続ける)
第9条 こどもは、生きる力となる将来の夢を持ち、伸ばし、それに向かって進むことができます。

(人と交わる)
第10条 こどもは、夢を持つために、あらゆる人と交流することで、たくさんの生き方や考え方を学び、社会の様々な情報や仕組みを知ることができます。

(自然と交わる)
第11条 こどもは、感性や創造性豊かに育つために、自然を実感したり、体験したりすることができます。

(文化と交わる)
第12条 こどもは、感性や創造性豊かに育つために、芸術、スポーツ、伝統文化、昔遊び及び他の地域の文化に触れることができます。

第4章 自分を表す

第13条 こどもは、自分が思ったこと、感じたことを素直に表現したり、意見を表明したりすることができます。

第5章 地域で育つ

(地域の役割)
第14条 こどもは、学校や家庭だけでなく、地域の住民、事業者、団体といった地域の様々な人々とのかかわり合いの中で育つことが大切であることから、地域の様々な人々は、こどもを地域社会の一員として育てるために、互いに、また、学校、家庭と協力するよう努めます。
2 地域の様々な人々は、こどもが自然や地域の文化を学び、社会性を養うための体験の機会を提供するよう努めます。

(学校の役割)
第15条 学校は、こどもの学びの場としてだけでなく、地域内のつながりの拠点のひとつとして、積極的に地域と交流するよう努めます。
2 学校は、地域の一員として、情報等様々な資源を地域に開き、地域の活動に協力するよう努めます。

(家庭の役割)
第16条 家庭は、こどもが育つ原点であり、こどもに基本的な生活習慣を身につけさせる場としての役割とこどもが心身ともに安らぎ、くつろげる場としての役割を持っていることから、こどもを保護する者は、こどもが自立した社会の一員となるように、責任を持って育てるよう努めます。
2 こどもを保護する者は、地域や学校と積極的に交流するよう努めます。

第6章 未来を創(つく)る

(広める)
第17条 県は、この条例がめざすものや内容をこどもにも分かりやすい様々な手段や方法で広めていきます。
2 県は、この条例がめざすものや内容をすべての県民に広めるために、高知県こども条例記念日を設けます。

(進める)
第18条 県は、県民や市町村との連携に努め、この条例に基づく活動を進めます。
2 県は、県の取組について、こどもの視点に立って進めます。

(計画する)
第19条 県は、この条例がめざすものや内容を実現するため、高知県こどもの環境づくり推進計画(以下「推進計画」といいます。)を作成します。
2 推進計画には、次のことを記載します。
(1) こどもの意見を聴き、こどもの意見が適切に尊重される意識づくり及びこどもに関する意思決定の過程にこどもが参加できる仕組みづくりに関すること。
(2) こどもが学び直す機会及びこどもの居場所づくりに関すること。
(3) こどもの様々な体験学習の実施及びこどもの自発的な活動への支援に関すること。
(4) こどもの人権侵害に対する救済に関すること。
(5) その他県が必要と認める事項

(活(い)かし続ける)
第20条 知事の附属機関として、高知県こどもの環境づくり推進委員会(以下この条において「推進委員会」といいます。)を設置します。
2 推進委員会の任務は、次のとおりとします。
(1) 推進計画の作成又は変更に関すること及び条例の目的の実現に関する重要な事項を調査審議すること。
(2) 推進計画に基づき県が実施するこどもの環境づくりに関する取組の状況について、知事に意見を述べること。
3 推進委員会は、委員15人以内で組織します。
4 委員は、こどもに関し識見のある15歳以上のこどもを含む県民から知事が任命します。
5 委員の任期は、2年とします。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とします。

第7章 その他必要なこと

第21条 この条例に定めるもののほか、この条例の実施に関し必要な事項は規則で定めます。

附 則
この条例は、公布の日から施行する。


◆新しい条例
http://www.pref.kochi.lg.jp/uploaded/life/79697_266270_misc.pdf

高知県子ども条例をここに公布する。

平成25年1月4日

高知県条例第1号

高知県子ども条例

高知県こども条例(平成16年高知県条例第35号)の全部を改正する。

高知県の将来を担う子どもが、豊かな自然の中で夢を持ってのびのびと遊び、学んで心豊かに成長することは、全ての県民の願いである。
全ての子どもは、かけがえのない存在として、生まれながらに人としての尊厳と権利を有する。その尊厳と権利を守り、健やかな成長を支えることは、社会を構成する大人一人一人の責務であり、子どもは、虐待、いじめその他のあらゆる暴力や差別から守られなければならない。
急速な少子化や核家族化の進行をはじめとした社会や経済状況の変化による地域社会の活力と共同社会機能の低下は、子どもの人間関係や社会意識の希薄化と規範意識の低下をもたらし、高知県の将来に深刻な影響を与えることが懸念されている。
そのため、人と人とが強い絆で結ばれた地域社会を再構築し、子ども一人一人が、自ら力を発揮しながら自尊感情と他者を思いやる心を育み、すくすくと成長することができる社会環境と教育環境を醸成していくことが求められている。
私たち県民は、子どもの健やかな成長に適した豊かな自然環境など、高知県の特性を十分に生かしながら、子どもの年齢と成熟度に応じて、その成長をしっかりと見守り、支えることを目指さなければならない。 このような考えのもと、私たち県民は、子どもの権利が尊重されながら、高い規範意識と自尊心を持って心豊かに成長することができるよう、家庭、学校、地域と行政とが、一体となって環境づくりに取り組むことを目指し、この条例を制定する。

(目的)
第1条 この条例は、子どもの尊厳及び権利が守られ、子どもが健やかに成長することができる環境づくりについての基本理念を定め、県、保護者、学校関係者等及び県民の責務を明らかにするとともに、施策の基本となる事項を定めることにより、これを総合的かつ計画的に推進し、もって全ての子どもが心豊かに成長することができる社会の実現に資することを目的とする。

(定義)
第2条 この条例において、「子ども」とは、18歳未満の者をいう。

(基本理念)
第3条 子どもの尊厳及び権利が守られ、子どもが健やかに成長することができる環境づくり(以下「子どもの環境づくり」という。)を県民で醸成するため、次に掲げる事項を基本理念として社会全体で推進しなければならない。
(1) 子どもは、次代の社会を担う大切な存在であるという認識の下、子どもが年齢及び成熟度に応じて成長することができること。
(2) 子どもが、家庭、学校及び地域社会における活動を通じて、人間性及び社会性を育み、成長とともに高い規範意識、自尊心及び他者を思いやる心を身に付けることができる環境をつくること。
(3) 保護者、学校関係者等、地域社会及び行政が子どものために連携すること。


(県の責務)
第4条 県は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、子どもの環境づくりに関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 県は、前項の施策を推進するに当たっては、次条から第7条までに規定する責務に配慮しなければならない。
3 県は、第8条の規定により連携し、及び協働して行われる取組を支援しなければならない。

(保護者の責務)
第5条 保護者は、家庭が子どもの育つ基盤であり、自らが子育てについて重要な役割を有すること及び基本理念にのっとり子どもを大切に育てる責務を有することを認識するとともに、子どもが高い規範意識を身に付けること及び自ら力を発揮して成長することができるよう、深い愛情を持って育てなければならない。

(学校関係者等の責務)
第6条 学校関係者等は、基本理念にのっとり、子どもの安全の確保及び子どもが安心して、学びながら成長することができる教育環境づくりに努めなければならない。

(県民の責務)
第7条 県民は、自らの意識、行動等が子どもに与える影響の大きさを自覚し、自らの規範意識を高めるとともに、子どもが健やかに成長することができる社会環境づくりに努めなければならない。

(連携及び協働)
第8条 保護者、学校関係者等及び県民は、前3条に規定する責務を果たすに当たっては、相互に連携し、及び協働するように努めるものとする。

(市町村との連携)
第9条 県は、第4条第1項の施策を推進するため、市町村と連携を図るとともに、市町村が実施する子どもの環境づくりに関する施策について、情報の提供、技術的な助言その他必要な支援に努めなければならない。

(計画の策定等)
第10条 県は、この条例の目的及び基本理念を実現するための計画(以下「推進計画」という。)を策定するものとする。
2 推進計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
(1) 総合的かつ長期的に講ずべき指針
(2) 前号に掲げるもののほか、子どもの環境づくりに関する取組を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
3 県は、毎年度、推進計画に基づき行う施策の実施状況について、年次報告として取りまとめ、これを公表するとともに、施策への反映に努めるものとする。

(推進委員会の設置等)
第11条 子どもの環境づくりに関する施策を推進するため、高知県子どもの環境づくり推進委員会(以下この条において「推進委員会」という。)を設置する。
2 推進委員会の任務は、次のとおりとする。
(1) 推進計画の作成及び変更に関すること並びにこの条例の目的の実現に関する重要な事項を調査審議すること。
(2) 推進計画に基づき県が実施する子どもの環境づくりに関する取組の状況について、知事に対して意見を述べること。
3 推進委員会は、委員15人以内で組織する。
4 委員は、子どもに関し識見のある15歳以上の子どもを含む県民から、知事が任命する。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 第2項から前項までに定めるもののほか、推進委員会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

(広報及び啓発)
第12条 県は、この条例の目的及び基本理念についての理解が促進されるよう、広報及び啓発に努めるものとする。

(相談への対応)
第13条 県は、子どもの環境づくりを推進するに当たって、子ども及びその保護者から相談があった場合は、適切な対応を行うものとする。
2 県は、前項の相談に応じ、必要な調査及び助言を行うほか、関係行政機関への通知その他処理のために必要な措置を講ずるものとする。

(委任)
第14条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則

(施行期日)
1 この条例は、平成25年4月1日から施行する。

(経過措置)
2 この条例の施行の際現に高知県こども条例(平成16年高知県条例第35号)第20条第1項の高知県こどもの環境づくり推進委員会(以下この項において「従前の高知県こどもの環境づくり推進委員会」という。)の委員である者は、この条例の施行の日において第11条第4項の規定により高知県子どもの環境づくり推進委員会の委員に任命されたものとみなす。この場合において、その任命されたものとみなされる高知県子どもの環境づくり推進委員会の委員の任期は、同条第5項の規定にかかわらず、同日における従前の高知県こどもの環境づくり推進委員会の委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。



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