第1回函館市子ども条例制定検討委員会の配付資料

 市の子ども未来部のHPが更新され、第1回函館市子ども条例制定検討委員会の配付資料が掲載されました。資料中の運営方法を見ますと、会議録については次回の委員会で承認を得ることになっていますので、第2回の委員会が開催されてから掲載されるものと思います。今日は配布された資料の中の「(仮称)函館市子ども条例制定に向けての趣旨説明」と「児童の権利に関する条約」について見てみたいと思います。

 先ず、「(仮称)函館市子ども条例制定に向けての趣旨説明」ですが、市長の政策と議会における市長の発言の要旨を掲載しています。市長政策の中に「子どもたちの人権を尊重し健全な成長を図るため」という文言はありますが、全体的には、拙ブログで市議会の答弁について紹介してきたとおり、健全育成が全面に押し出されている印象ですが、推進派は「子どもたちの人権を尊重し」の一点を突いてくると思われます。できれば拙ブログで紹介した23年9月定例会での「市民みんなで、子供をいかにして未来に向かって希望を持って生きられるような環境を整えてあげるかということを考えるということで、私は子ども条例を提案しているわけでありまして、御指摘の権利権利だと、子供の権利だけだということで考えているわけではありませんし、場合によっては、したがって、私、権利条例という名前を使ってないわけでありますから、総合的に考えていく。」という答弁も資料に含めて頂ければと思います。

【資料3】(仮称)函館市子ども条例制定に向けての趣旨説明
1 市長政策
「4 子どもたちと若者の未来を拓きます。
 少子化と若者の市外流出により、若年人口が減少しています。子どもたちと若者に、明るい未来が約束されなければなりません。子どもたちがたくましく生きる環境を整えるとともに、若者の就業機会の増大に取り組み、未来を拓きます。
 子どもたちの人権を尊重し健全な成長を図るため、「子ども条例」を制定します。
 (市長政策集より抄出)」
2 議会における子ども条例制定にあたっての市長発言要旨
○ 子どもを取り巻く社会環境には、少子化や核家族化の進行、地域のつながりの希薄化などが見受けられるところであり、こうした中で子どもの健やかな成長を促していくためには、子育ての孤立化を防ぎ、女性の就労の増大に伴う子育て支援を推進するとともに、家庭、学校、地域が一体となって、良好な環境をつくりあげていくことが必要である。
○ 私たちが子どものころに比較して、家庭の力、世帯の力というものが非常に弱体化をしてきている。子育ては、昔は両親のほかに、祖父母や親戚、さらには、近所の人が一緒になって行っていた。
○ 現在は、核家族化の進行や、地域社会のつながりの希薄化などから子育てに不安を抱えながら、自分たちだけで子育てをしている方々が増えているのではないか。
○ このような社会環境にあって、子育てを支援し、支えることができるのは、地域の力、まち全体の力である。
○ 子育てを支援し、支える、地域の力、まち全体の力を醸成するためには、共通の市民的理念が必要であることから、地域全体で喜びをもって子どもたちの健やかな成長を支えることができる地域社会の実現を図ることを目的として、子ども条例を制定したい。
 (平成24年6月定例会、平成23年9月定例会における答弁より)


 次に、「児童の権利に関する条約」の資料ですが、これは外務省が翻訳したものではありません。調べてみますと、日本ユニセフ協会抄訳のようです。抄訳は一見わかりやすく纏められているようですが、ユニセフは児童の権利条約を推進する立場ですから、その立場で抄訳されていることを前提に読む必要があり、市の委員会の資料としては如何でしょうか。
 
 例えば、条約第12条について、委員会資料では

「子どもは、自分に関係のあることについて自由に自分の意見を表す権利をもっています。その意見は、子どもの発達に応じて、じゅうぶん考慮されなければなりません。」

となっていますが、外務省の訳文は

「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。(※次に第2項あり)」

です。「自己の意見を形成する能力のある」の部分が削除されていることもありますが、「じゅうぶん考慮されなければなりません」「相応に考慮されるものとする」ではニュアンスが違います。この部分を原文は次の通りですが、如何でしょうか。

「States Parties shall assure to the child who is capable of forming his or her own views the right to express those views freely in all matters affecting the child, the views of the child being given due weight in accordance with the age and maturity of the child.」

 また、第13条について、委員会資料では

「子どもは、自由な方法でいろいろな情報や考えを伝える権利、知る権利をもっています。ただし、ほかの人に迷惑をかけてはなりません。」

となっていますが、外務省の訳文は

「1 児童は、表現の自由についての権利を有する。この権利には、口頭、手書き若しくは印刷、芸術の形態又は自ら選択する他の方法により、国境とのかかわりなく、あらゆる種類の情報及び考えを求め、受け及び伝える自由を含む。

2 1の権利の行使については、一定の制限を課することができる。ただし、その制限は、法律によって定められ、かつ、次の目的のために必要とされるものに限る。

(a) 他の者の権利又は信用の尊重
(b) 国の安全、公の秩序又は公衆の健康若しくは道徳の保護 」


となっていて、2の(b)にある国の安全や、公の秩序、公衆の健康若しくは道徳の保護のためには制限を受けるという部分が、委員会資料では削除されています。委員会資料(日本ユニセフ協会抄訳か)はわかりやすいという面においては良いのかもしれませんが、都合の良い解釈を許すことも考えられないでしょうか。

 児童の権利に関する条約は、拙ブログで見てきましたように、複雑な審議過程を経て成立し、条約自体に矛盾も内包しており、国によっては批准に際して自国の法律や慣習が壊されることがないように解釈宣言を行っている条約ですから、参照するに当たっては、ユニセフの抄訳ではなく、外務省の訳文を用いる必要があると思います。
(ご参考)拙ブログ「児童の権利条約」に関する記事

 もちろん、それ以前に「子どもの権利条例」ではなく「子ども条例」にした経緯があるわけですから、児童の権利条約を資料にする必要もないとは思います。




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