夫婦別姓に関する世論調査

 夫婦別姓を求めて提訴することを決めた、というニュースは拙ブログでもお伝えしましたが、実際に提訴したようですね。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20110215ddm012040035000c.html
http://www.asahi.com/national/update/0214/TKY201102140328.html
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20110214-OYT1T00820.htm
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/110214/trl11021416590003-n1.htm

 この夫婦別姓については、平成21年に出された女子差別撤廃委員会の最終見解でも取り上げられています。

委員会は、男女共に婚姻適齢を18歳に設定すること、女性のみに課せられている6カ月の再婚禁止期間を廃止すること、及び選択的夫婦別氏制度を採用することを内容とする民法改正のために早急な対策を講じるよう締約国に要請する。さらに、嫡出でない子とその母親に対する民法及び戸籍法の差別的規定を撤廃するよう締約国に要請する。委員会は、本条約の批准による締約国の義務は、世論調査の結果のみに依存するのではなく、本条約は締約国の国内法体制の一部であることから、本条約の規定に沿うように国内法を整備するという義務に基づくべきであることを指摘する。

このように「世論調査の結果のみに依存するのではなく」とあるのは、政府の報告書に「世論調査等により国民意識の動向を把握しつつ、結婚に伴う氏の変更が職業生活等にもたらしている支障を解消するという観点からも、(中略)選択的夫婦別氏制度について、国民の議論が深まるよう引き続き努めている。」とあるからなのか、或いはNGOのカウンターレポートによるものか判りませんが、いずれにしても世論調査では夫婦別姓が支持されていないことがわかります。(女子差別撤廃委員会の世論調査によらずに法律を改正せよというのも滅茶苦茶ですが)

 そこで、その世論調査を調べてみますと、内閣府で毎年様々な世論調査を行っていて、選択的夫婦別氏制度については、平成18年に実施されていましたので、先ずその結果を見てみたいと思います。調査結果の概要の中で、選択的夫婦別氏制度については

平成8年6月調査,平成13年5月調査と比較して見ると,「婚姻をする以上,夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり,現在の法律を改める必要はない」(39.8%→29.9%→35.0%)と答えた者の割合が上昇に転じ,逆に,「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には,夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」(32.5%→42.1%→36.6%)と答えた者の割合が低下に転じ,両者がほぼ同じ割合になっている。

として、反対が増え、賛成が減ったものの、両者が同じ割合のような印象を与えていますが、実際の選択肢は

婚姻をする以上、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきであり、現在の法律を改める必要はない…イ

夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には、夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない…ロ

夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこでも使えるように法律を改めることについてはかまわない…ハ


であって、イ35.0%、ロ36.6%、ハ25.1%となっています。ということは「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべき」と考えている人は60.1%と考えるべきではないでしょうか。内閣府の発表は「両者がほぼ同じ割合」と言いつつも、すべての回答が示されていますが、当時の報道は「夫婦別姓、賛否並ぶ」「法改正に賛否拮抗」などと報道していたようですし、さらにその5年前の平成13年の調査の時も同じような報道があったようで、日本政策研究センターで分析されています。

新聞は平気でウソつく 夫婦別姓問題(明日への選択平成13年12月号)
http://www.seisaku-center.net/modules/wordpress/index.php?p=173

夫婦別姓「賛否拮抗」報道のインチキ(平成19年1月30日)
http://www.seisaku-center.net/modules/wordpress/index.php?p=407

 この平成18年の調査をもう少し見てみますと、「婚姻と実家の名字(姓)の存続」について「例えば,男性の兄弟のいない女性が,名字(姓)を変えると,実家の名字(姓)がなくなってしまうなどの理由で,婚姻をするのが難しくなることがあると思うか」という設問があり、難しくなることがあると思う41.9%、難しくなることはないと思う53.0%という結果が出ていますが、この設問の意図するものは何でしょう。例えば山田家の一人息子山田一郎さんと鈴木家の一人娘鈴木花子さんが結婚する場合、実家の名字を残すために夫婦別姓にしたとしても、一郎さんと花子さんに子どもが一人しか生まれなければ、いずれどちらかの名字は継承されなくなり、夫婦別姓は実家の名字を残すことにはならないはずです。

 また、「子どもへの影響」について「夫婦の名字(姓)が違うと,夫婦の間の子どもに何か影響が出てくると思うか」という問いに対して、好ましくない影響があると思う66.2%、影響はないと思う30.3%、「別姓夫婦の子どもの名字(姓)」について「法律が変わった場合を想定した上で、それぞれの婚姻前の名字(姓)を名乗っている夫婦に二人以上の子どもがある場合、子ども同士(兄弟・姉妹)の名字(姓)が異なってもよいという考え方について、どのように考えるか」という問いに対して、異なってもかまわない12.8%、同じにするべきである68.4%、どちらともいえない」16.9%となっていますが、夫婦別姓にした場合、どちらかの親とは親子別姓になることについての設問はありません。

 さらに、最初にご紹介した設問でも「夫婦が婚姻前の名字(姓)を名乗ることを希望している場合には,夫婦がそれぞれ婚姻前の名字(姓)を名乗ることができるように法律を改めてもかまわない」という人が36.6%いるわけですが、これは選択制を前提としていますので、もし選択制でなければ、この数字はかなり少なくなるのではないでしょうか。実際に、この36.6%の人に「別姓の希望」を聞いたところ、希望する人は20.9%つまり全体の7.6%しかいないのです。しかし選択制だから構わないという人がいるのではないでしょうか。夫婦別姓を推進している人たちが法律婚と事実婚の垣根をなくそうとしていることや、嫡出子と非嫡出子を同じ扱いにしようとしていること、さらには戸籍を家族から個人の個籍にしようとしていることを考えれば、選択制だから構わないとは言っていられなくなるような気がします。

 このような夫婦別姓に関する内閣府の世論調査は、平成8年、13年、18年と実施されていますので、恐らく今年5年ぶりに実施されるのではないでしょうか。以前の記事で、最高裁で敗訴しても国連の女子差別撤廃条約の選択議定書が批准されれば、女子差別撤廃委員会から勧告を受ける可能性についてお示ししましたが、平成18年に別姓反対が増えた世論調査が今年実施されることを意識して提訴したということも考えられないでしょうか。

 

この記事へのコメント

敬子
2013年02月26日 08:11
夫婦別姓は家族を、破滅させます。

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