子どもの権利条例の問題点④

 子どもの権利条例の問題点の4つめは、各地の子どもの権利条例には、国連の児童の権利に関する条例にある「家族」という観点が抜け落ちている点です。児童の権利条約には、問題点①で例示しましたように、

「家族が、社会の基礎的な集団として、並びに家族のすべての構成員、特に児童の成長及び福祉のための自然な環境として、社会においてその責任を十分に引き受けることができるよう必要な保護及び援助を与えられるべき」

「児童がこの条約において認められる権利と行使するに当たり、父母若しくは場合により地方の慣習により定められている大家族若しくは共同体の構成員、法定保護者又は児童について法的に責任を有する他の者がその児童の発達しつつある能力に適合する方法で適当な指示及び指導を与える責任、権利、及び義務を尊重する」


という文言がありますが、この他にも父母や家族との関係を重要視した条文がいくつもありますので、ご紹介したいと思います。

前文「家庭環境の下で幸福、愛情及び理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認め」

第3条「児童の父母、法廷保護者又は児童について法的に責任を有する他の者の権利及び義務を考慮に入れて、児童の福祉に必要な保護及び用語を確保する」

第7条「児童は、・・・できる限りその父母を知りかつその父母によって養育される権利を有する」

第18条「児童の養育及び発達について父母が共同の責任を有するという原則についての認識を確保するために最善の努力を払う。父母又は場合により法廷保護者は、児童の養育及び発達についての第一義的な責任を有する」

第27条「父母又は児童について責任を有する他の者は、自己の能力及び資力の範囲内で、児童の発達に必要な生活条件を確保することについての第一義的な責任を有する。・・・締約国は、国内事情に従い、かつ、その能力の範囲内で・・・父母及び児童について責任を有する他の者を援助するための適当な措置をとる」


 つまり、児童の権利条約では、父母が責任をもって子供を養育し、子供は愛情ある家庭で育てられるべきで、そうした家庭が社会の基礎的な単位として保護・援助されるべきで、子供にとっては、そうした環境で育てられることが権利だとしているのです。

 また、児童の権利条約の成立以前の昭和34(1959)年に国連総会で採択された「児童の権利に関する宣言」問題点②でみたようなオートノミーの権利ではなく、保護を受ける権利や教育を受ける権利などが規定されていて、「児童は、できる限り、両親の愛護と責任のもとで、また、いかなる場合においても、愛情と道徳的及び物質的保障とのある環境の下で育てられなければならない」としています。

 この「児童の権利に関する宣言」は「児童の権利に関する条約」でも引用されていて、条約の前文に、

「児童の権利に関する宣言において示されているとおり『児童は、身体的及び精神的に未熟であるため、その出生の前後において、適当な法的保護を含む特別な保護及び世話を必要とする。』ことに留意し、」

とあり、母親の胎内にいる時から児童として保護が必要なことをうたっていますが、この文言によって、児童の権利条約では堕胎は認められていない、と解釈されているようです。こうした条約を元に子どもの権利条例を推進派が「子供を産むか産まないかを決めるのは女性自身の権利」などを主張しているのは、条約を読み違えているのではないでしょうか。



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