M字カーブ問題

 拙ブログは子どもの権利条例を取り上げていますが、関連して男女共同参画の問題も取り上げており、その関係で検索されてご覧頂いている方もいらっしゃいますので、ジェンダーフリーやリプロダクティブ・ライツに続いてM字カーブ問題について取り上げてみたいと思います。

 昨年12月17日に閣議決定された第3次男女共同参画基本計画の中でも、「第4分野 雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保」の中で、「3 ポジティブ・アクションの推進」とともに、「6『M字カーブ問題』の解消に向けた取組の推進」(※)が掲げられています。
※第3次基本計画の中間整理の段階では「M字カーブの解消」だったのですが、反対意見が多かったからでしょうか、昨年6月の「第3次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」から「M字カーブ問題の解消」とされました。

 M字カーブとは、女性の労働力率を年齢でみたグラフが出産や育児のために30歳代の部分が低くなってM字に見えることを指していますが、第3次男女共同参画基本計画では、これをM字から台形にしよう、つまり子供を産んでも女性に働き続けることを推進しようとしているわけです。

 このM字カーブの問題については、労働力との関係、或いは専業主婦や3歳児神話との関係など、様々な観点から論じられていると思います。例えば、労働力については、少子化による労働力不足を補うために女性も働いた方が良い、逆に失業率が高いのに労働力不足なのか、などの意見がありますし、専業主婦との関係については、配偶者控除などの税制の問題や働く女性と専業主婦とどちらが子供が多いのか、PTAなど社会活動をしているのは専業主婦が多い、などの論議があるようですし、3歳児神話については、定義も3歳児までは母親が育てる方が良いという定義と脳の発達にとって3歳児までの刺激が重要であるという定義、などがあるようですが、国も平成10年の厚生白書では「合理的な根拠がない」として否定し、平成17年の文科省の報告書では「3歳までの母親をはじめとした家族の愛情が大切」であるとして見解が分かれています。

 少し長くなりましたが、ここからが今日の本題です。一方では選択の自由があるとして夫婦別姓などを主張し、一方では専業主婦を認めず女性はすべて働くべきだという男女共同参画ですが、実際に女性がどのように思っているのか、国立社会保障・人口問題研究所で2008年度に行った第4回全国家庭動向調査という資料がありますので、ご紹介したいと思います。この資料については正論平成22年9月号の「韓国委員に操られた“赤い国連”の内政干渉」という論文で岡本明子氏も紹介されています。岡本明子氏は、「日本の家族政策が間違っている」「他国を真似る子育てや家族政策は大間違いであると指摘」されて、その理由の一つとして、

二〇〇八年の社会保障・人口問題基本調査、第四回全国家庭動向調査によれば、「三歳くらいまでは母親は育児に専念したい」、「自分たちを多少犠牲にしても子どものことを優先」する、という項目に、日本の八割以上の既婚女性が賛成しているという結果が出ているのだ。内閣府・男女共同参画局や男女共同参画基本計画が、国防費を遥かに上回る予算を計上して、ジェンダーフリー教育を進め、女性の就労を促すための女性優遇策であるポジティブアクション(積極的改善措置)を行なっても、それを嘲笑うかのような結果が出るのは、伝統的に子供や家族を大事に思う心と、どうすれば家族が幸せに生きていけるのかという処し方や知恵が、日本人の遺伝子の奥深くに組み込まれているからに違いないのだ。

と論じています。

 そこで、国立社会保障・人口問題研究所の第4回全国家庭動向調査を見てみますと、

 母親の役割に関する「子どもが3歳くらいまでは、母親は仕事を持たずに育児に専念した方がよい」の賛成割合は、第1回と第2回調査の約9割から第3回調査では82.9%に低下したが、今回はやや上昇して85.9%であった。

 親の役割への姿勢に関する「夫婦は自分たちを多少犠牲にしても、子どものことを優先すべきだ」への賛成割合は、第3回調査までは7割台でわずかな上昇傾向がみられ、今回はさらに4ポイント増えて8割を超えた(81.5%)


 となっています。それ以外にも注目すべき調査結果が出ていますので、見てみますと、

 「夫は外で働き、妻は主婦業に専念すべき」の賛成割合は第2回と第3回調査の間で10ポイント以上低下し、41.1%に下がったが、今回は反転し45.0%に上昇した。

 「男の子は男らしく、女の子は女らしく育てるべきだ」を肯定する割合は第1回から第3回調査まで低下し続け、第2回から第3回の間に8ポイントも低下したが、今回は逆に6ポイント上昇し、73.5%となった。

 「夫、妻とも同姓である必要はなく、別姓であってもよい」に賛成する割合は第1回から第3回まで上昇してきたが、今回は3ポイント低下した(43.8%)。


 などとなっていて、大きな予算をかけて男女共同参画を推進しているにも係わらず、国民の意識とはかけ離れていることがわかります。また、平成22年度版厚生労働白書でも、「子を持つ母親の望ましい働き方」で、育児休業と子育てに専念の数字を足すと、1歳までは88.1%、3歳までは39.5%が仕事をせずに育児に専念した方が良いと考えていることがわかります。こうした国民の意識をどのように考えているのかわかりませんが、待機児童解消と称して0歳児保育を進めたり、配偶者控除を見直す動きがあったりして、専業主婦という選択を認めようとしないのは、何か目的があるのではないかと思ってしまいます。

 専業主婦については、仙谷前官房長官がとんでもない発言をしていたようですね。正論2月号の八木秀次氏の論文で取り上げていますが、産経新聞でも報道されていましたので、ご紹介します。

◇仙谷氏「専業主婦は病気」と問題発言か 本人は「記憶にない」と釈明 (産経新聞 平成10年12月27日)

 仙谷由人官房長官が4月の子育てシンポジウムでの講演で「専業主婦は病気」と受け取られかねない発言していたことが27日、分かった。仙谷氏は同日の記者会見で「そんな表現をした記憶はない。男性中心社会の固定観念が病気であると、絶えず申しあげてきた」と釈明した。

 幼稚園情報センターのホームページなどによると、仙谷氏は4月26日、全国私立保育園連盟による「子供・子育てシンポジウム」で講演し、「専業主婦は戦後50年ほどに現れた特異な現象」と分析。「(戦後は女性が)働きながら子育てする環境が充実されないままになった。もうそんな時代は終わったのに気付かず、専業主婦に家庭の運営を任せておけばいいという構図を変えなかったことが、日本の病気として残っている」などと発言した。

 仙谷氏は27日の記者会見では「工業化社会に入る前は女性は家事労働もし、(男女で)共同作業をしていたが、戦後の一時期、分業体制が固定化されすぎていた」と持論を展開。「志ある優秀な女性にとっては日本の社会構造は生きにくい」との認識を示した。

 この発言は、雑誌「正論」2月号で高崎経済大の八木秀次教授が指摘した。

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