札幌市の例(4)

 札幌市の例(3)までに、平成19年2月に市議会で否決され、その後再提出しようとしたところ、700を超える反対の陳情があって、平成20年6月には継続審議とされたことをお伝えしましたが、この後、2万筆を超える反対の署名が集められ、9月に札幌市議会に提出されました。当時の様子を毎日新聞とどさんこワイドで次のように伝えています。

◇札幌市子どもの権利条例に反対署名(毎日新聞 平成20年9月26日)

 札幌市議会で継続審査となっている子どもの権利条例の制定に反対する市民団体「札幌の子どもたちの健全育成を願う会」(会長、藤野義昭弁護士)が25日、市議会に条例制定の反対署名2万2004人分を提出した。藤野会長は「プライバシー権を盾に子どもが持ち物検査を拒否できるなど問題が多々あり、効果は期待できない」と述べた。子どもの権利条例の制定は上田文雄市長が公約に掲げており、07年3月の市議会で否決され、今年6月の市議会でも採決が見送られた。10月の市議会文教委員会で審議される予定。


◇こどもの権利、条例化に反対(STVどさんこワイド280 平成20年9月25日)

 札幌市が制定を進めるこどもの権利条例に反対の意見です。

 こどもへの虐待やいじめを防ぐのが条例の目的とする札幌市に対し、市民団体は、親のしつけがしづらくなると反対しています。

 条例に反対する署名を提出したのは札幌の市民団体です。全国から2万人の署名が集まったといいます。「子供の権利に関する条例」は子供のプライバシーや表現の自由、遊び、休息する権利が定められています。虐待やいじめからこどもを守るのが目的で、札幌市が成立を目指しています。

 しかし条例に反対する市民団体は子供たちが権利を主張すれば親がしつけをしづらくなるなど弊害を指摘しています。

 (札幌の子どもたちの健全育成を願う会・藤野義昭会長)「学校教育の正常な活動や家庭での親のしつけを阻害する」

 子供の権利条例の制定を公約に掲げている上田市長は、市議会での成立に決意をにじませました。

 (札幌市・上田市長)「反対論、ご心配については誤解がないように条例制定に向けて粛々と努力していきたい」

 子供の権利を保障する条例ー。その効果の是非については議論が続いています。



 しかし、この頃すでに民主党に風が吹き始めており、結局は10月の定例会で、公明党が賛成に転じ、題名を「子どもの権利に関する条例」から「子どもの最善の利益を実現するための権利条例」に変更し、条例の危ない内容は変えられることなく可決されてしまいました。読売新聞が次のように伝えています。


◇「子どもの権利条例」成立へ・・・札幌市議会委で可決(読売新聞 平成20年10月8日)

 札幌市議会は7日の文教委員会で、民主党・市民連合、公明党、市民ネットワーク北海道の3会派が「子どもの権利条例」の修正案を共同提案し、修正部分を除いた原案とともに賛成多数で可決した。条例案は会期中の本会議でも可決される見通しとなった。

 修正案は題名を「子どもの権利に関する条例」から「子どもの最善の利益を実現するための権利条例」に変更、施行期日は市長が別に定める。青山浪子市議(公明)は「条例の目的を明確に表題に示す必要がある」と提案理由を説明した。
 
 同条例の制定は上田文雄市長の公約。昨年2月の市議会で野党会派の自民、公明両党の反対で否決されたが、上田市長は今年5月に救済機関の設置などを加えた修正案を再提出した。だが、自民党が「子どもが権利ばかり主張し教育現場が混乱する」などとして強い難色を示し、制定に反対する陳情も相次いだことから、継続審議となっていた。
 
 条例案を巡っては、これまで反対陳情440件、賛成陳情301件が寄せられるなど、依然激しい議論の的となっている。この日も自民党議員が「道教委との調整が不十分だ」などとして、慎重審議を求めた。
 
 だが、5月市議会で最終的に継続審議を主張した公明党が「題名の変更と付帯決議を行うことで一部の懸念も払拭(ふっしょく)できる」と判断した。委員会では、条例を日本が1994年に批准した「子どもの権利条約」に基づいて運用することを求める付帯決議案を本会議に提出することを決めた。



 題名が「子どもの最善の利益を実現するための権利条例」に変わったとはいえ、権利のオンパレードの条例であることも、それを監視する救済機関が盛り込まれていることも変わりはありません。また、札幌市のHPを見ればわかるように、結局は略して「子どもの権利条例」と呼んでいるのです。

 最近は週刊誌などでも子どもの権利条例の危険性が取り上げられ、条例の名称から「権利」の文字を削除して「子ども条例」などとする自治体もありますが、内容は同じものですから注意しなければならないと思います。(ただし、内容が権利条例ではなく健全育成条例になっているものもあります)

この記事へのコメント

ジャルおじさん
2010年12月04日 15:04
です
私は子どもが悪いことをしたとき、おしりをたたきます
その度合いによって強さを変えます
救済機関なるものができて、これを見た人が「虐待」といわれたら私は子どもを取り上げられるのでしょうか?
口で言ってわからない子にどうやって躾をすれば良いのでしょうか?
疑問だらけのおかしな条例ですね
落蹲
2010年12月05日 09:01
ジャルおじさんさん、コメント有り難うございます。

一時期、体罰がすべてダメだという状況があった際に、文科省から↓のような通達が出ていますので、ご参照頂ければと存じます。

> 子どもを取り上げられるのでしょうか?

現在、児童の権利条約や子どもの権利条例によって、そういった事例はないようですが、DV法によって児童相談所が父親を排除する動きはあります。こちらをご覧下さい。野牧先生のHPとブログです。
http://www5f.biglobe.ne.jp/~constanze/nomarintopx.html
http://constanze.at.webry.info/
ジャルおじさん
2010年12月05日 15:07
おじさんです
早速みてみました。
私が聞いたことがあったのはDV法の児童相談所による家族引き離し、だったんですね。
よくわかりました。
なんか児童相談所はたいして仕事もしていないで、
何かあったら言い訳ばかりしているイメージでしたが、
とんでもない法でとんでもないことをしているんですね。
被害者?の人達がかわいそうです。
離婚弁護士にも驚きでした。
そういえばなんかマスコミに出てくる相談員とかの
弁護士ってすぐ、離婚の方法とか、後の権利とか、
「離婚して幸せになれる」みたいな弁護士、多いですよね。
私のところは大丈夫、っと思ってますが・・・
これらを見てると不安になっちゃいますよ・・トホホ
落蹲
2010年12月06日 08:41
ジャルおじさんさん、いつも有り難うございます。

国連の条約も我が国のDV法も必要とする人がいて、きちんと運用されれば良いのかと思いますが、それを自分たちに都合の良いように解釈したり、拡大解釈する人がいるんですよね。子どもの権利条例も、条約の一部だけを勝手に解釈したものだと思います。

この記事へのトラックバック