国連の児童の権利委員会の勧告がすり替えられていた?

 前の記事で、国連の児童の権利委員会に提出する日本政府第3回報告書作成にあたっての外務省との意見交換会の不自然な動きと、その第3回報告書の審査が今年ジュネーブで開催された国連児童の権利委員会でおこなわれたことをお伝えしました。国連の児童の権利委員会の審査が終わって出された見解が外務省HPに掲載されていますが、そこでも不可解なことがあったようです。

 ジュネーブで開催された国連の児童の権利委員会で日本の第3回報告書が審査されたのは今年の5月27、28日ですが、委員会では日本以外の国の審査も行われており、実際の委員会の開催期間は5月25日~6月11日で、その最終日に最終見解が採択され、当初は6月11日付けの最終見解が国連のHPに掲載されていました。しかし、現在国連のHPに掲載されている最終見解は日付が6月20日となっていて、内容が変更されているのです。(外務省HPに掲載されている日本語仮訳は日付が6月22日となっています)

 この間に注視すべきニュースがありました。6月16日付けの聯合ニュースで、「国連子どもの権利委、日本に歴史教科書是正勧告」というニュースです。

 6月11日から20日までの不可解な件について、実際にジュネーブの児童の権利委員会を傍聴した家族の絆を守る会事務局長の岡本明子氏が、正論9月号に「韓国委員に操られた赤い国連の内政干渉」として、その間の経緯について次のように論じています。


 委員会からの「最終見解」文書は、インターネットの国連の日本専用ページに掲載されることを以て通達されることになっている。「事件」というのは、一度出された委員会の「最終見解」が、勧告項目が四つ増えて、日本政府には何の説明もなく、いつの間にか、すり替えられていたということである。追加された項目の一つに、「日本の歴史教科書が一方的な内容であり、アジア太平洋地域の国々との相互理解を阻害するので、教科書を公式に再検討せよ」という主旨の勧告内容があった。

 これに関連して、韓国の通信社である「聯合ニュース」は、六月十六日、「国連子どもの権利委、日本に歴史教科書是正勧告」と題したニュースの中で、委員会が審議した結果、歴史教科書問題、そしてアイヌ・朝鮮・部落などの少数民族(※アイヌのみならず部落が何故少数民族なのか理解不能)差別の禁止等が勧告されたと報じているが、これは事実とは違っている。委員会では歴史教科書の問題が出るには出たが、議論にはならなかった。さらには、少数民族の子供達への差別などは、一言も出なかった。そして、審査二日目の最後、委員会からどういうものを勧告に盛り込むかという大筋が示されたが、教科書と少数民族問題は含まれていなかったのだ。

 聯合ニュースは、もう一つ事実と違うことを書いている。それは、児童の権利委員会委員長で韓国人の李亮喜氏のことである。同ニュースは、李氏は前回第二回日本審査の「最終見解」を出す担当者で、「今回も歴史教科書と朝鮮学校差別問題を積極的に提起した」と伝えているのだが、今回の日本国審査に、李委員長は加わっていなかった。審査する締約国が多いため、委員会では十八名の委員が二手に分かれて審査しており、日本の審査と同時日、別の国の審査に李委員長は入っていたのだ。従って日本政府が出席している正式な審査の場で、李氏が提起したということはあり得なかった。

 以上をまとめると、(1)異例の「最終見解」すり替えがあった、(2)すり替わった最終見解の中に、歴史教科書への勧告が付け加えられていた、(3)審査中、話の出なかったアイヌ、部落、朝鮮などの少数民族の子供達の差別についての勧告が出された。こうした事実から、少なくとも以下のことが言えるのではないかと思う。

 最終見解がすり替わったのは、おそらく、李委員長が、今回の日本担当委員が「最終見解」を出した後で、教科書問題を入れるようにゴリ押ししたからであろう。二つ目は、審査で話し合われなかったアイヌ・部落・朝鮮等「少数民族の子供への差別」が、実際に行なわれているかどうかは最早確認もされず、固定化された「差別」になってしまっているということだ。

 これらのことは、まず勧告内容云々の前に、手続きとして全く不当であり、最も問題なのは、利害・見解をめぐり係争中の当事国出身の者(李委員長)が、その職や地位を利用して、相手方の当事国に、係争中の問題について、一方的な断罪を公的に下すということだ。これは、絶対にあってはならないことである。日本政府は、児童の権利委員会に対して抗議をすべきだと私は思っている。また、こうしたことがまかり通る国連という組織が、如何にいい加減で、ルーズで、横暴で、偏向した組織であるかを改めて思い知らされた次第である。

 李委員長は、歴史教科書問題等が、今後行われる日本に対する国連人権理事会の普遍的審査(人権理事会が四年ごとに国連加盟国の人権状況を審査する新制度)でも取上げられるだろうと述べており、歴史教科書問題が、「従軍慰安婦問題」のように国際的な問題に発展してゆくことが懸念される。



 つまり、当初の最終見解には盛り込まれていなかった教科書と少数民族問題が、別の国の審査を行っていて日本の審査には加わっていなかった韓国の委員長によって付け加えられたということです。
 
 政府や外務省は、このことについて抗議しないのでしょうか。また、このような児童の権利委員会の最終見解を我が国が受け入れる必要はあるのでしょうか。
 

《聯合ニュース》
【ジュネーブ15日聯合ニュース】国連子どもの権利委員会が、日本の歴史教科書はアジア太平洋地域の歴史に対するバランスの取れた視点がみられないと指摘し、是正を勧告した。
 15日に公開された委員会の報告書によると、先月25日から今月11日までの第54会期で、日本の「子どもの権利条約」履行状況を審議。その結果、日本の歴史教科書はアジア太平洋地域の他国の学生との相互理解を強化できないだけでなく、歴史的事件を日本の観点でだけ記述していることが懸念されると指摘した。そのうえで、「アジア太平洋地域の歴史的事件に対しバランスの取れた視角を示せるよう、教科書を公式に再検討することを政府に勧告する」と述べている。

 また、華僑学校や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)系の学校など、他民族出身の子どもたちが通う学校への支援が十分ではなく、こうした学校を卒業しても大学入試に必要な資格条件が認められないことも懸念点だとした。非日本系学校への支援を拡大し、大学入試などでの差別を撤廃するよう勧告した。

 さらに、開発途上国の児童の人権を優先的に考慮する政府開発援助(ODA)を拡大し、アイヌや韓国人など少数民族出身の子どもたちに対する差別をなくすことも勧告した。

 同委員会の李亮喜(イ・ヤンヒ)委員長は、2004年の日本に対する総括所見で首席審議官として活動している。今回も歴史教科書と朝鮮学校差別問題を積極的に提起した。先ごろの聯合ニュース特派員の取材では、「これら問題は、人権条約履行状況を検討する際、継続して提起していく必要がある」との考えを示している。今回の報告書は、今後行われる日本に対する国連人権理事会の普遍的審査(UPR)でも活用されるだろうと述べた。

この記事へのコメント

この記事へのトラックバック