札幌市の例(1)

 道内でも、いくつかの自治体で子どもの権利条例が制定されていますが、札幌市の場合について調べてみますと、札幌市では、平成17年に「札幌市子どもの権利条例制定検討委員会」を設置して検討を始めました。平成18年7月には、条例案に対するパブリックコメントを実施し、同年11月には定例市議会へ上程する予定でしたが、この時は可決の見込みがないとして上程が見送られています。その当時の様子を朝日新聞が次のように伝えています。


 子どもの権利条例 札幌市、提案見送り(朝日新聞 平成18年11月20日)

■市議会最大会派  自民「まず義務を」
 札幌市は今年度中の制定を目指す「子どもの権利条例」について、当初予定していた28日開会の定例市議会への提案を見送る方針を固めた。最大会派の自民党などが反対に回り、否決が確実な情勢だからだ。子どもの「権利」とは何なのか――。1年半続く議論に、結論は出ていない。

 同条例は上田文雄市長の公約の一つ。昨年4月、市は教員や主婦らによる検討委員会を発足し、条例制定に向けて本格的に動き出した。

 会合は子どもや保護者、教育関係者への聞き取り調査など計115回にのぼった。今年2月には小中高生による「子ども委員会」も作った。5月に検討委が答申をまとめ、それをもとに市が子どもにとって大切な権利として四つの柱を盛り込んだ素案をまとめた。

 上田市政で与党の民主党などは条例に賛成の立場だが、野党の自民党は反対姿勢を崩さない。公明党も「子どもの権利は大切だ」としながらも、「議論が足りない」と難色を示す。

 自民党が反対する最大の理由は、「権利よりもまず義務を教えるべきだ」という点だ。学校で教師が子どもを指導しても、「自分らしく生きる権利がある」と反論されるのではないか、などという懸念がある。同党議員会政審会長の笹出昭夫市議は「権利を主張し、わがままを通す子どもにどう対応するのか」と指摘する。

 札幌市の条例の元になった国連の「子どもの権利条約」についても、笹出市議は「後進国の子どもたちの保護を目的としたもの。日本の現状にはそぐわない」という。

 これに対して市側は、「権利を与えないのではなく、行使する時に守るルールを教えることが大事」と反論。国連の権利条約についても「いじめや虐待など、子どもの人権侵害は依然としてある」と説明する。

 市が市民から募った3500件余りのパブリックコメントでも条例への賛否を含め、様々な意見が寄せられた。「子どもの権利は憲法などで規定されており、条例にすることはない」との意見がある一方で、「権利を与えるとわがままになるというのは誤解。むしろ自律と責任感を促す」と、制定を望む声もあった。

 上田市長の現任期で残された機会は、来年の第1回定例市議会だ。子どもの権利推進課の杉本雅章課長は「様々な立場の意見を踏まえて条例案を作成し、第1回定例会での提案を目指したい」としている。

《キーワード》
 ◆札幌市子どもの権利条例の素案
 子どもが自らの意思でのびのびと成長・発展していける権利を保障することを目的としている。対象は18歳未満。子どもにとって大切な権利として(1)安心して生きる(2)自分らしく生きる(3)豊かに育つ(4)参加する――の四つを規定している。同様の条例は全国約30市町村で制定したり、検討されたりしている。



 その後、上田札幌市長の任期満了直前の平成19年2月の定例市議会に上程されましたが、この時は、自民・公明両党の反対によって否決されています。当時の道新の報道です。


上田市長公約の2条例案否決へ 札幌市議会(北海道新聞 平成19年2月19日)

 上田文雄札幌市長が任期中の成立を公約としている「市民活動促進条例」案と「子どもの権利条例」案は、いずれも二十日の市議会本会議で否決されることが確実となった。市長提案の議案が市議会で否決されるのは、十八年ぶりとなる。

 市民活動促進条例案は十九日の財政市民委員会で賛成少数で否決。子どもの権利条例案は、同日の文教委員会で賛否同数となり、委員長採決で可決されたが、二十日の本会議では、条例案に反対の自民党や公明党などが過半数のため、賛成少数で否決される。

 市民活動促進条例案は、基金創設などでNPOや町内会支援を行う内容。子どもの権利条例案は、子供の人権を守ることを目的に保護者や地域、学校、行政の役割について規定。ともに昨年秋に成立した「自治基本条例」と並び、上田市長が成立を公約としていた。

 市長提出議案の否決は、一九八九年秋、消費税を公共料金に上乗せするための二十四議案が否決されて以来となる。



 その後4月の札幌市長選で、上田市長が子どもの権利条例制定を公約に掲げて再選されたのですが、その後の動きは次回お伝えしだいと思います。

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