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zoom RSS 政治分野における男女共同参画推進法案

<<   作成日時 : 2016/12/10 16:16   >>

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 自民党が「政治分野における男女共同参画推進法案」を合同部会で了承して、今国会に提出するという報道がありました。報道をみますと、法案は国政選挙や地方選挙の候補者数が、男女ができる限り均等となることを目指すという内容で、反対意見にも配慮してクオータ制は導入しないということのようです。

 反対意見としては「議員の仕事は土日の休みもなく『超ブラック』。なりたがる女性が少ない。まずは仕事のあり方を見直すべきだ」、「家庭を守って子育てをしたいという女性が家庭から追い出されかねない」、「機会の平等ではなく、結果の平等を思想の根底に含んでいて、男女の対立が構造的に深まる」などがあったようですが、こうした意見に配慮して具体的に人数を割り当てるクオータ制の導入を見送り、努力目標とする理念法案となったようです。

 しかしながら、「同法案は国や地方選挙において議席や候補者の一定数を女性に割り振る「クオータ制」導入に向けた基本法という位置づけだ」という報道もあり、今後クオータ制に発展しかねません。そこで、男女の候補者数が均等となることを目指す、或いはそれをより強固な制度とするクオータ制を含むポジティブアクション(積極的改善措置)の問題について考えてみたいと思います。(ニュース引用の下に続きます)
 
◇立候補者数も「男女均等に」自民、今国会で法案提出へ (朝日新聞 平成28年12月9日)

 自民党は9日午前、国会や地方議会の男女の候補者数を政党ができる限り「均等」にするよう努力を求める「政治分野における男女共同参画推進法案」を今国会に提出する方針を決めた。公明党、日本維新の会と共同提出する。すでに法案を出している民進党など野党4党とも協議に入る考えだが、今国会での成立の見通しは立っていない。

 9日午前に開かれた党内閣第1部会と女性活躍推進本部の合同会議では一部に異論は出たが、土屋品子推進本部長が一任を取り付けた。その後の政調審議会で提出を了承した。


◇自民「候補者数の男女均等」推進法案了承 「クオータ制」導入せずも「反対だ!」の怒号も (産経新聞 平成28年12月9日)
 自民党は9日の総務会で、選挙で男女の候補者数を「均等」にするよう各政党に求める「政治分野における男女共同参画推進法案」を了承した。公明党、日本維新の会とともに共同提案し、来年の通常国会での成立を目指す。

 了承されたとはいえ、総務会に先立つ自民党女性活躍推進本部などの合同会議では賛否両論が噴出した。一定の議席数を女性に割り当てる「クオータ制(人数割当制)」を導入しないことを前提に了承されたが、了承の際には「反対だ!」との怒号も飛び交った。

 自民党では、女性の国会議員が約1割にとどまることから、同法の成立で「議員は男性も女性も取り組むべき仕事だという理念を示す必要がある」(野田聖子元総務会長)との意見がある一方、「家庭を守って子育てをしたいという女性が家庭から追い出されかねない」(西田昌司参院議員)との慎重な声も根強い。

 民進党など野党4党は、男女の候補者数を「同数」とするよう求める内容の法案を5月に提出している。


◇「候補者数男女平等」法案 自民、反対論のなか了承 来年の成立目指すもしこり残る (産経新聞 平成28年10月9日)

 自民党は9日、国政・地方選で男女の候補者数を均等にするよう各政党に求める「政治分野における男女共同参画推進法案」を了承し、公明党、日本維新の会と衆院に共同提出した。罰則を設けない理念法で、来年の通常国会での成立を目指すが、自民党では一定の議席・候補者を女性に割り当てる「クオータ制(人数割当制)」への移行などを懸念する反対論も噴出し、しこりが残った。

 法案了承のために自民党女性活躍推進本部(土屋品子本部長)などが9日に開いた合同会議では、約1時間で30人が意見を述べた。

 「機会の平等ではなく、結果の平等を思想の根底に含んでいて、男女の対立が構造的に深まる」

 こう訴えたのは山谷えり子参院議員。女性の政治参加に賛同した上で、「均等」を最終目標とする法案への反対論をぶった。ただ、約3分の2は賛成意見で、最後に土屋氏がクオータ制を導入しないことを約束して了承。拍手とともに「反対だ!」との怒号も飛び交った。

 女性の国会議員が約13%にとどまる中、推進派には同法の成立で「議員は男性も女性も取り組むべき仕事だという理念を示す」(野田聖子元総務会長)との狙いがある。早期の衆院解散を想定した危機感もある。土屋氏は合同会議で「(解散前に)法律が成立しなければ、必ず野党から攻撃を受ける」とあおった。

 党幹部も推進の立場で、茂木敏充政調会長は9日、記者団に「女性活躍(の機運)が盛り上がっている。一日も早い法制定が必要だ」と述べた。一方、民進党の蓮舫代表は「遅すぎる。女性の政治分野での推進を支える法案の感覚が鈍いのは残念だ」と記者団に語り、自民党を批判した。

 民進党など野党4党は5月に男女の候補者数を「できる限り同数となることを目指して行わなければならない」とした法案を提出。来年の通常国会では両案が審議される見通しだ。ただ、自民党内には「理念法とはいえ逆差別につながりかねず、絶対反対だ」(参院幹部)との反対論がくすぶっており、成立までは曲折も予想される。


◇女性議員の増加促進法案、自民が了承 (日経新聞 平成28年12月9日)

 自民党は9日の総務会で、国や地方議会の女性議員の増加を促す「政治分野の男女共同参画推進法案」を了承した。国政選挙や地方選挙などの候補者数について「男女ができる限り均等となることを目指す」と明記し、政党に努力義務を定めている。公明党、日本維新の会と同日、共同提出した。

 同法案は国や地方選挙において議席や候補者の一定数を女性に割り振る「クオータ制」導入に向けた基本法という位置づけだ。反対論の強い保守系議員に配慮し、クオータ制の導入を義務付けず強制力のない理念法にとどめた。

 自民党は11月16日に開いた女性活躍推進本部などの合同会議で男女共同参画推進法案を議論したが、出席者から異論が相次いだため了承を持ち越した。民進党など野党は「できる限り同数をめざす」とした同じ趣旨の法案を先の通常国会に提出している。

 自民党は民進党など野党との調整を経て今国会での成立をめざす。ただ、同法案を扱う参院内閣委員会はカジノを中心とした統合型リゾート(IR)を推進する法案(カジノ法案)を審議しており日程が窮屈なため、成立は見通せない。


◇女性の政治参加法案、自公維で提出 反対や慎重論も (毎日新聞 平成28年12月10日)

 自民党は9日、衆参両院や地方議会の選挙で男女の候補者数を均等にするよう政党に求める議員立法「政治分野における男女共同参画推進法案」を合同部会で了承した。これを受けて、自民、公明、日本維新の会の3党は同法案を衆院に共同提出した。

 自民党の合同部会では、小野田紀美参院議員が「議員の仕事は土日の休みもなく『超ブラック』。なりたがる女性が少ない。まずは仕事のあり方を見直すべきだ」と反対を表明した。別の女性参院議員も「『均等』の型をはめると不都合が出る。むしろ男女の対立をあおる」と慎重論を述べた。

 これに対し、推進派は「安倍政権でこの法案を通せないなら、女性活躍の看板はやめた方がいい」と主張。意見が一致しないまま、党女性活躍推進本部の土屋品子本部長らが了承を決めた。

 法案策定に関わってきた野田聖子元総務会長は「自民党内で立ち往生することは想定外だった」と記者団に語り、安倍晋三首相や加藤勝信1億総活躍担当相らの後押しで法案提出にこぎつけたことを明らかにした。

 先の通常国会で民進、共産、社民、自由(当時は生活)の野党4党は候補者の男女比をできる限り同数にする法案を提出している。与野党は今後、二つの法案の一本化を検討する。会期末が近いため、審議は来年の通常国会以降になる見通しだ。



 拙ブログでは、これまでも男女共同参画の問題について取り上げてきましたが、その中で、今回の問題は積極的改善措置(ポジティブアクション)に関わっています。男女共同参画社会基本法では、その第2条第2項で積極的改善措置として、次のように定めています

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

二 積極的改善措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

 また、同法の第8条には、国の責務として、次のように定め、積極的改善措置が男女共同参画社会の形成促進の施策に含まれるとしています。

第八条 国は、第三条から前条までに定める男女共同参画社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

 そして、同法第13条によって平成12年に策定された男女共同参画基本計画にも、政策・方針決定参画に関する調査・研究の実施として、次のように明記されました。

•積極的改善措置(ポジティブ・アクション)の具体化
我が国における積極的改善措置(ポジティブ・アクション)の具体的措置の導入について、諸外国の実態を参考にしつつ、実効性を担保する仕組み等につき総合的に検討する。
また、女性の参画が政策・方針決定へ与える影響や女性が政策・方針決定に参画しやすい環境づくり等に関し調査・研究する。


 ただ、その後積極的改善措置によって、機会の平等ではなく結果の平等を求める動きがあったことにより、平成17年の第2次男女共同参画基本計画では、次のような注意書きが明記されました。

*積極的改善措置(ポジティブ・アクション)
 積極的改善措置は、男女共同参画社会基本法第2条第2号において、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する「機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲において、男女いずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。」と定義されている。
 男女共同参画社会基本法上の積極的改善措置は、男女の実質的な機会の平等を目指すものであり、様々な人々の差異を無視して一律平等に扱うという結果の平等まで求めるものではない。

 ところが、民主党政権下で策定された平成22年の第3次男女共同参画基本計画では逆に結果の平等を求めるようなクオータ制やゴール・アンド・タイムテーブル方式など、ポジティブアクションの具体的な方法にまで言及しています。

@ 実効性のある積極的改善措置(ポジティブ・アクション)の推進
 「社会のあらゆる分野において、2020 年までに、指導的地位に女性が占める割合が、少なくとも30%程度になるよう期待する」という目標(平成15 年6月20 日男女共同参画推進本部決定。以下「『2020 年30%』の目標」という。)の達成に向けて、取組の強化・加速が不可欠である。クオータ制(割当制)やインセンティブ付与、ゴール・アンド・タイムテーブル方式など多種多様な手段のうち、分野や実施主体の特性に応じて、実効性のある積極的改善措置(ポジティブ・アクション)を推進する。


 平成27年に策定された第4次男女共同参画基本計画では、基本法に基づく男女共同参画基本計画や成長戦略等を通じたポジティブ・アクション(積極的改善措置)を始めとする様々な取組を進めてきた、と説明した上で、欄外に用語の意味として、次のように記載されています。

ポジティブ・アクション(積極的改善措置)とは、男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に関る男女間の格差を改善するために必要な範囲において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう(基本法第2条第2号参照)。男女間において形式的な機会の平等が確保されていても、社会的・経済的な格差が現実に存在する場合には、実質的な機会の平等を担保するためにポジティブ・アクションの導入が必要となる。

 今回の自民党の部会での意見の違いをみてもそうですが、国の基本計画でも策定に関わった方によって、このように違いがあることがわかります。それでは次に、男女共同参画を推進する元となった国連の女子差別撤廃条約では、どのように規定されているのかをみてみたいと思います。同条約の第4条に次のような条文があります。

第四条
1 締約国が男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは、この条約に定義する差別と解してはならない。ただし、その結果としていかなる意味においても不平等な又は別個の基準を維持し続けることとなつてはならず、これらの措置は、機会及び待遇の平等の目的が達成された時に廃止されなければならない。
2 締約国が母性を保護することを目的とする特別措置(この条約に規定する措置を含む。)をとることは、差別と解してはならない。

 条約にも「男女の事実上の平等を促進することを目的とする暫定的な特別措置をとることは、この条約に定義する差別と解してはならない」とありますが、ここでは「暫定的な」とあって、その特別措置によって「いかなる意味においても不平等な又は別個の基準を維持し続けることとなつてはなら」ないとして、「これらの措置は、機会及び待遇の平等の目的が達成された時に廃止されなければならない」としています。つまり、積極的改善措置はあくまでも暫定的でなければならず、それによって逆差別になることもあるので、目的が達成された時には廃止しなければならない、としているのです。また、国内では何故か議論になりませんが、条約は母性の保護のための特別措置も取り上げています。

 積極的改善措置(ポジティブアクション)が違憲ではないかという意見もありますが、女子差別撤廃条約でも、こうした措置が逆差別になり得ることを示唆しているように読めます。そこで、他の国ではどのような事例があるのかを調べてみますと、フランスではパリテ法(2000年制定)成立以前には、1982年に憲法院が25%性別割当制が憲法3条と人権宣言6条に抵触するという違憲判決を出していますし、イタリアでも2003年に公職への男女の平等な参画の促進を盛り込んだ憲法改正が行われる以前の1995年に、地方選挙におけるクオータ制と下院選挙における男女交互名簿制が憲法裁判所によって違憲判決が出されていることがわかりました。

 我が国は現憲法で、こうした積極的改善措置が違憲となる可能性はないのでしょうか。今回の動きには今後も注視していきたいと思います。


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