函館市の子どもの権利条例を考える

アクセスカウンタ

zoom RSS 均衡ある人口基盤の強靱化へ向けた対策

<<   作成日時 : 2016/05/04 11:37   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 0 / コメント 0

 一般社団法人レジリエンスジャパン推進協議会という団体が、安倍晋三国土強靱化推進本部長、加藤勝信国土強靱化担当大臣に「緊急提言書2016」を提言しました。その提言書の中に同協議会のワーキンググループの1つである「均衡ある人口基盤の強靱化へ向けた対策検討ワーキンググループ」が取り纏めた「持続可能な家族・世代・地域を取り戻す」という提言がありますので、ご紹介したいと思います。

 レジリエンスジャパン推進協議会のHPによれば、同協議会は、平成26年7月に設立され、次のような目的が掲げられています。

 国土強靭化担当大臣私的諮問機関「ナショナル・レジリエンス懇談会」の結果を踏まえ、 「国土強靭化基本計画」が円滑に達成されるよう、産、学、官、民のオールジャパンでその叡智を結集し 、非常時のみならず平時での戦略的活用の方策を創造することにより、公共投資、民間投資が最大限に相乗効果を発揮し、 レジリエンス立国を構築していくことを目的として設立されました。

 国土強靱化については、東日本大震災を受けて、平成25年2月に、内閣官房に「ナショナル・レジリエンス(防災・減災)懇談会」が設置され、同年12月には「国土強靱化基本法」(正式名称は「強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する国土強靱化基本法」)が制定されています。

 こうした背景の中、レジリエンスジャパン推進協議会が、その主要な活動として、「様々なテーマを対象としたワーキンググループを立ち上げ、国土強靭化を推進するにあたっての課題の抽出、解決策、ビジョン、新たな制度等の仕組みづくり、政府、地方自治体、民間のそれぞれが何をすべきかなどを検討して」きて、その中から「特に政府として早急に取り組むべき課題や方策について取りまとめ」て、今回「緊急提言書」を内閣官房国土強靭化推進室審議官に提出したようです。

 提言書は、レジリエンスに関わる15の提言が掲載されていますが、拙ブログでこれまで取り上げてきました少子化に関わる提言として、加藤彰彦氏が座長を務められた「均衡ある人口基盤の強靱化へ向けた対策検討ワーキンググループ」の提言「持続可能な家族・世代・地域を取り戻す」をご紹介します。

 先ず、緊急提言骨子には、次のように記載されています。

 「均衡ある人口基盤の強靱化」にいう「均衡ある」とは、人口の年齢構成の不均衡(人口の逆ピラミッド化)と地理的分布の不均衡(東京一極集中)、およびその背景にある社会保障の世代間格差と子育てコストの世代内不平等を是正することを意味する。言い換えれば、世代の格差と不平等を是正して、年間100万人出生数を維持しつつ国民の希望出生率1.8%を実現するとともに、東京への一極集中を解消して、総人口1億人を維持することである。
 均衡ある人口基盤の強靱化を実現するためには、次世代再生産の基盤である家族と地域共同体を強靱化することが不可欠であるが、そのためには、福祉政策・労働政策に依拠した従来型の少子化対策―積極的な家族形成支援策を欠いた「少子化社会対策」―では不十分である。
 本ワーキンググループは、弱体化した家族と共同体を再生して「強くてしなやかな社会」を創生するために、抜本的かつ直接的な「家族人口政策」を実施することを提言する。

 そして、政策として、家族人口政策と必要な財源・組織・人材を確保するための政策をそれぞれ3つ掲げています。

 〔T〕家族人口政策の3つの柱
  ●親手当政策(出生・家族葬政策)
  ●孫ターン政策(人口還流・地方創生策)
  ●子ども・子育てシェルター(地域による家族保護支援策)
 〔U〕必要な財源・組織・人材を確保するための3政策
  ●子ども投票権の実現
  ●憲法家族保護規定の導入
  ●将来世代省の設置

 提言の中で、不均衡な人口構造がどのような事態をもたらすのかについて、「不均衡な人口構造―逆ピラミッド化と一極集中」「世代間格差と世代内不平等―団塊ジュニア世代の『老後破産』」「少子化・人口減少の危機」を取り上げて、それぞれ次のように説明しています。(一部抜粋)

●不均衡な人口構造―逆ピラミッド化と一極集中
 (国立社会保障・人口問題研究所のデータから2040年の人口ピラミッドを描いたものを資料として)・・・・・・60歳代後半の出っ張りは団塊ジュニア世代(1970年代前半生まれ)である。現在すでに40歳代に突入したこの世代では、約3割の人びとが無子に終わることが確定的となった。一方、2040年の出生数は70万人弱であり、現在の年間100万人から3割減少する。・・・・・・2060年には、出生数48万人、総人口8670万人の細長い逆ピラミッド型の人口構成になる。・・・・・・地方においては出生数の減少に若年人口の流出超過が加わるため、2040年よりもずっと早い時期に(あるいは現在すでに)逆ピラミッド型へと変化する。日本創生会議による「消滅可能性リスト」に掲げられた自治体がそうした地域である。・・・・・

●世代間格差と世代内不平等―団塊ジュニア世代の「老後破産」
 ・・・・・・平成生まれは、頭上にある巨大な高齢人口の老後を、年金、医療、介護、生活保護等の社会保障・社会福祉のかたちで負担しなければならない。2040年の高齢者のなかでも、無子化を進めた団塊ジュニア世代は人口規模が巨大なだけに「老後破産」する人口も巨大になると予想される。・・・・・・(負担の重さが)「肩車」になってしまうのは、平成生まれの親たちが属する高齢世代に、未婚者・無子者が数多く存在するからであり、もし平成生まれが自分たちの親の老後の面倒だけを集中的にみることができれば、負担は大幅に軽減される。言い換えれば、平成生まれにとっては、親孝行の方が経済的に合理的である。・・・・・・「子育ての重い負担を免れたおひとりさまたちの老後を、なぜウチの息子や娘が支えなければならないのか」「結婚しない自由・出産しない自由は認められるとしても、老後によそのウチの子の世話になる自由はあるのか」という疑問をもつ人びとが今後増加していくことだろう。・・・・・・「社会保障と税の一体改革」からは、こうした子育てコストの圧倒的な不平等という視点が抜け落ちている。

●少子化・人口減少の危機
 ・・・・・・未婚人口・無子人口の増大は、親や祖父母になった経験のない人口割合の増加を意味する。(マタニティハラスメントやベビーカーのトラブルを挙げ)これ以上の無子化・少子化は、社会のさまざまな場所において、子育てに対する細やかな配慮と共感を減少させ、性犯罪や連れ去り等の増加と相まって、子育て環境をいっそう悪化させることになる。と同時に、肥大化する未婚・無子の高齢者は政治力をますます強めて、資源・財源配分の世代間格差をさらに拡大させる可能性が高い。「おひとりさまシルバーデモクラシー」の出現は、逆ピラミッド化を不可逆的に加速させることになるであろう。・・・・・・2040年の人口逆ピラミッドは、今後日本が脱出可能な少子化・人口減少の危機に陥ること、そして、こうした危機の中で、地球温暖化や地殻変動の活発化による災害の増加と、さらには東アジアをめぐる地政学的状況の悪化に対応していかなければならないことを示唆している。

 こうした指摘の上で、「100万人出生数を維持するために何を為すべきか」として、次のように提言しています。(一部抜粋)

●100万人出生数を維持するために何を為すべきか
 それゆえ、これ以上に出生数を減らさないことが、現代日本の抱えるあらゆる社会問題を解決するための必要条件になる。・・・・・・ここで重要なことは、すでに40歳以下の女性人口が完全に少子化世代に入れ替わったので、100万人出生数を維持していけば、出生率は上昇を続けて、2040年代初頭には人口置換水準の近く―政府が期待する出生率1.8程度―を回復するということである。・・・・・・
 100万人出生数を維持して、均衡ある人口基盤の強靱化を実現するためには、次世代再生産の基盤である家族と地域共同体を強靱化することが不可欠であるが、そのためには、福祉政策・労働政策に依拠した従来型の少子化対策―積極的な家族形成支援策を欠いた「少子化社会対策」―では不十分である
 ・・・・・・定番の仕事と家庭の両立支援策やワークライフバランス(WLB)政策は、家庭や職場の生活環境を改善するという点では必要不可欠な政策であるが、家族人口政策としては根本的な弱点がある。・・・・・・女性が出産・育児期にもフルタイムの仕事を継続しながら育て上げられる子どもの数は、たとえほとんどすべての女性が出産したとしても、実際には平均2人を下回ってしまうという問題である。とくに女性の平均初婚年齢が30歳を超えた今日では、加齢による妊孕力低下のために2人目を産みきることができない人びとが増加し、これが夫婦の完結出生児数(最終的な子ども数)の減少の主要因となっている。・・・・・・仕事と家庭の両立に加えて、WLBにより自己実現をも追求するのであれば、平均的な体力の人びとにとっては、子ども1人がちょうどバランスがよいということになるであろう。・・・・・・両政策とも「ライフコース選択の自由」や「家族の多様化」等のキーワードとともに語られることが多いが、実のところ、結婚しない自由と出産しない自由を保障できない政策なのである。
 100万人出生数を維持するためには、子ども数0人と1人は、子ども数3人と4人によって埋め合わされなければならない。結婚しない自由と出産しない自由を保障しつつ出生数を維持するために、まず為すべきことは、多子志向・家族志向の夫婦(とくに女性)に対して積極的な支援を行って彼らの希望を実現することである。社人研の「出生動向基本調査」(2010年)によれば、現在なお、理想の子ども数として3人以上を挙げる夫婦が全体の45%を占めており、多子志向の夫婦は決して少数派ではない。また同調査では、3人以上の理想を実現できない理由として、71%の夫婦が「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」と回答している。それゆえ、多子志向・家族志向の夫婦に対する支援は、より直接的な経済的支援が鍵となる。・・・・・・

 そして、「家族人口政策の3つの柱」と「必要な財源・組織・人材を確保するための3政策」について詳しく提言されていますので、政策については、是非、提言書をご覧下さい。

 以上、提言をご紹介しましたが、こうした指摘は、これまでも為されてきました。拙ブログでも、安宅川佳之氏や松田茂樹氏の指摘についてご紹介してきましたし、国が少子化対策として20年以上も前の平成6年に打ち出したエンゼルプランでも、少子化の原因として晩婚化の進行と夫婦の出生力の低下を挙げていたことは拙ブログでも指摘させて頂きました。

 にも関わらず、ここまで少子化が改善されないのは、結婚しない自由や出産しない自由を強調したり、女性の出産適齢期を語ることが問題視されて女性手帳の発刊が中止になったりして、一方の主張ばかりが取り上げられ、提言にあるような社会保障の世代間格差や子育てコストの世代内不平等があまり取り上げられなかったからではないでしょうか。拙ブログで以前、ドイツの介護保険料が子供の有無に拘わらず同じなのは違憲という判決が出て現在は子供の有無によって保険料が異なることを紹介しましたが、そのくらいのことをしなければ、現在の状況は変わらないのかもしれません。





テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
均衡ある人口基盤の強靱化へ向けた対策 函館市の子どもの権利条例を考える/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる