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zoom RSS 最高裁大法廷、夫婦同姓に合憲判断

<<   作成日時 : 2015/12/18 11:43   >>

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 民法750条の「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」という規定が憲法に違反するとして訴えを起こし、一審の東京地裁で違憲性が認められず、二審の東京高裁も一審判決を支持し、最高裁に上告された訴訟の判決で、最高裁が大法廷に回付したことで違憲判断が下されるかもしれないと注目されていましたが、16日、最高裁大法廷は「規定は合憲」とする初めての判断を示し、原告の請求を棄却しました。

 最高裁の判決文はこちらで読むことが出来ます。

 判決の中で、個人の尊重を定めた憲法13条に反するという原告の訴えに関する部分で、夫婦同姓を始め、出生の際の氏の取得、離婚の際の氏の変更等の氏に関する民法の規定について、次のように述べています。

 これらの規定は、氏の性質に関し、氏に、名と同様に個人の呼称としての意義があるものの、名とは切り離された存在として、夫婦及びその間の未婚の子や養親子が同一の氏を称するとすることにより、社会の構成要素である家族の呼称としての意義があるとの理解を示しているものといえる。そして、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位であるから、このように個人の呼称の一部である氏をその個人の属する集団を想起させるものとして一つに定めることにも合理性があるといえる。

 氏は、個人の呼称としての意義があり、名とあいまって社会的に個人を他人から識別し特定する機能を有するものであることからすれば、自らの意思のみによって自由に定めたり、又は改めたりすることを認めることは本来の性質に沿わないものであり、一定の統一された基準に従って定められ、又は改められるとすることが不自然な取扱いとはいえないところ、上記のように、氏に、名とは切り離された存在として社会の構成要素である家族の呼称としての意義があることからすれば、氏が、親子関係など一定の身分関係を反映し、婚姻を含めた身分関係の変動に伴って改められることがあり得ることは、その性質上予定されているといえる。

 このように現行法の氏の性質について述べた上で、婚姻の際に「氏の変更を強制されない自由」が憲法上の権利として保障される人格権の一内容であるとはいえない、として憲法13条に違反するものではない、と結論づけています。

 次に、法の下の平等を定めた憲法14条に違反するいう原告の訴えに関する部分では、

 本件規定は,夫婦が夫又は妻の氏を称するものとしており,夫婦がいずれの氏を称するかを夫婦となろうとする者の間の協議に委ねているのであって,その文言上性別に基づく法的な差別的取扱いを定めているわけではなく,本件規定の定める夫婦同氏制それ自体に男女間の形式的な不平等が存在するわけではない。我が国において,夫婦となろうとする者の間の個々の協議の結果として夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占めることが認められるとしても,それが,本件規定の在り方自体から生じた結果であるということはできない。

 として、憲法14条に違反するものではない、と結論づけています。

 次に、婚姻に関する夫婦同等の権利と家族に関する事項における個人の尊厳と両性の本質的平等を定めた憲法24条に違反するいう原告の訴えに関する部分では、

 氏は、家族の呼称としての意義があるところ、現行の民法の下においても、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を一つに定めることには合理性が認められる。そして、夫婦が同一の氏を称することは、上記の家族という一つの集団を構成する一員であることを、対外的に公示し、識別する機能を有している。特に、婚姻の重要な効果として夫婦間の子が夫婦の共同親権に服する嫡出子となるということがあるところ、嫡出子であることを示すために子が両親双方と同氏である仕組みを確保することにも一定の意義があると考えられる。また、家族を構成する個人が、同一の氏を称することにより家族という一つの集団を構成する一員であることを実感することに意義を見いだす考え方も理解できるところである。さらに、夫婦同氏制の下においては、子の立場として、いずれの親とも等しく氏を同じくすることによる利益を享受しやすいといえる。加えて、前記のとおり、本件規定の定める夫婦同氏制それ自体に男女間の形式的な不平等が存在するわけではなく、夫婦がいずれの氏を称するかは、夫婦となろうとする者の間の協議による自由な選択に委ねられている。

 夫婦同氏制の下においては、婚姻に伴い、夫婦となろうとする者の一方は必ず氏を改めることになるところ、婚姻によって氏を改める者にとって、そのことによりいわゆるアイデンティティの喪失感を抱いたり、婚姻前の氏を使用する中で形成してきた個人の社会的な信用、評価、名誉感情等を維持することが困難になったりするなどの不利益を受ける場合があることは否定できない。そして、氏の選択に関し、夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占めている現状からすれば、妻となる女性が上記の不利益を受ける場合が多い状況が生じているものと推認できる。さらには、夫婦となろうとする者のいずれかがこれらの不利益を受けることを避けるために、あえて婚姻をしないという選択をする者が存在することもうかがわれる。しかし、夫婦同氏制は、婚姻前の氏を通称として使用することまで許さないというものではなく、近時、婚姻前の氏を通称として使用することが社会的に広まっているところ、上記の不利益は、このような氏の通称使用が広まることにより一定程度は緩和され得るものである

 総合的に考慮すると、本件規定の採用した夫婦同氏制が、夫婦が別の氏を称することを認めないものであるとしても、上記のような状況の下で直ちに個人の尊厳と両性の本質的平等の要請に照らして合理性を欠く制度であるとは認めることはできない。


 として、憲法24条に違反するものではない、と結論づけています。

 ただ、判決の中で、次のようなことも述べられています。先ずは憲法14条に関する部分で、

 もっとも、氏の選択に関し、これまでは夫の氏を選択する夫婦が圧倒的多数を占めている状況にあることに鑑みると、この現状が、夫婦となろうとする者双方の真に自由な選択の結果によるものかについて留意が求められるところであり、仮に、社会に存する差別的な意識や慣習による影響があるのであれば、その影響を排除して夫婦間に実質的な平等が保たれるように図ることは、憲法14条1項の趣旨に沿うものであるといえる。そして、この点は、氏を含めた婚姻及び家族に関する法制度の在り方を検討するに当たって考慮すべき事項の一つというべきであり、後記の憲法24条の認める立法裁量の範囲を超えるものであるか否かの検討に当たっても留意すべきものと考えられる。

 また、憲法24条に関する部分では、

 なお、論旨には、夫婦同氏制を規制と捉えた上、これよりも規制の程度の小さい氏に係る制度(例えば,夫婦別氏を希望する者にこれを可能とするいわゆる選択的夫婦別氏制)を採る余地がある点についての指摘をする部分があるところ、上記(1)の判断は、そのような制度に合理性がないと断ずるものではない。上記のとおり、夫婦同氏制の採用については、嫡出子の仕組みなどの婚姻制度や氏の在り方に対する社会の受け止め方に依拠するところが少なくなく、この点の状況に関する判断を含め、この種の制度の在り方は、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないというべきである

 として、どちらも憲法の各条文に対して違憲ではないという結論の後に書かれています。
 

 今回の判決では、氏(同姓・別姓というところの「姓」)について、家族が「社会の自然かつ基礎的な集団単位」で、その呼称としての氏を一つに定めることに合理性があると指摘しています。また、子の氏についても触れて、両親と同じ氏であることの意義を認め、そのことによって利益を享受しやすいとも指摘しています。

 別姓を望む方の中に、結婚してどちらかの家名が存続できなくなるので別姓にしたいという意見もありますが、家名を残したいということは、氏を家族の呼称として認めているからだと思いますが、そもそも両親が同姓だったからこそ存続すべき家名があるのではないでしょうか。また、その方の時だけ別姓で家名を残したとしても、その方の子供が一人だった場合、どうするのでしょうか。

 子供の姓をどうするのかという議論もよく見受けられますが、夫婦別姓は親子別姓でもあり、子供は姓を選択できないわけですから、最高裁の判決にあるように両親が同姓で子供も同じ姓であることが、子供にとって一番良いことであるように思います。子どもの権利条例推進派と夫婦別姓推進派が重なっているようにも思えるのですが、子どもの最善の利益を唱える一方で夫婦別姓を推進するのはどうしてでしょうか。

 また、判決文で紹介したように、夫婦同姓が合憲であるとした上で、最高裁は、選択的夫婦別氏制(完全な夫婦別姓や例外的夫婦別姓ではない)について合理性がないと断ずるものではないとして、国会で論ぜられ、判断されるべき事柄にほかならないとしていますが、選択的夫婦別姓については、選択的であっても一部に別姓を認めることになれば、氏も個人の呼称となって、家族の呼称としての意味合いがなくなり、同姓の方の氏も個人の呼称となってしまうことは多くの識者が指摘しているところです。つまり、選択的夫婦別姓を認めるということは別姓にしたい方だけが別姓にすれば良いということではなく、家が解体されて全てが個人になってしまうということです。

《ご参考》
「夫婦別姓容認は家族の呼称廃止を意味する 最高裁は慎重な判断を」 (産経新聞「正論」)


 ここで思い出されるのは、一昨年の非嫡出子の相続に関する訴訟です。この訴訟で最高裁は非嫡出子の相続を嫡出子の半分として民法の規定に違憲判断を下しました。この時の勝訴して憲法違反の垂れ幕を掲げる写真をご覧になった方も多いと思いますが、写真の左側に写っていた横断幕に「なくそう戸籍」とあったのをご存じでしょうか。(「婚外子差別は違憲」「朝日新聞」で検索すると当時の朝日新聞の号外がありますので、写真を確認してみて下さい。)このように、民法の家族に関する規定に対しての訴訟の先には、戸籍を廃止しようとする動きがあることがわかります。

 また、別姓推進派は、多くの国が別姓を認めていると言いますが、別姓を認めている国も同姓を原則として例外的に別姓を認めている場合が多く、今回のような選択的別姓を認めている国はスウェーデンくらいしかないそうですが、そのスウェーデンは、こんな感じのようです。

《ご参考》
「夫婦別姓論議・なぜ「スウェーデン」は語られないのか」 (日本政策研究センター)
 
 さらに、別姓推進派や、今回反対意見を述べた裁判官も国連から勧告を受けていることを指摘しています。これに関しては、拙ブログでも取り上げてきましたし、今回、産経新聞でも取り上げられました。

《ご参考》
「国連委勧告は公平か? 関係者が熾烈なロビー活動」 (産経新聞)

 夫婦別姓の推進派が民法改正の根拠に挙げるのが、国連女子差別撤廃委員会による日本への勧告だ。過去、日本に複数回出された勧告では、別姓導入や再婚禁止期間撤廃などを求めた。ただ、「国連は関係者や団体による熾烈(しれつ)なロビー活動の現場」(外務省関係者)との指摘も多く、どの程度公平な視点で結論が導き出されたのか、冷静な分析が必要となりそうだ。

 同委員会は女子差別撤廃条約締約国から選出された専門家23人で構成。うち22人は女性だ。今年2月には林陽子弁護士が日本人としては初めての委員長に就任したが、来年2月に予定されている日本の審査からは規定により外れる。林弁護士によると、審査は委員から選出した調査担当者が中心となり、対象国政府の報告や関連NGO団体の調査、国連機関のデータなども踏まえて、結論を出す。

 日本への勧告にあたっては、別姓導入に向けて活動する複数の団体が積極的に資料提供してきた。資料には、かつて民主党政権が閣内の反対で別姓導入に向けた民法改正を断念したとの趣旨が記され、「政治不信を深め、別姓導入を求める訴訟を起こした」などの表現が盛り込まれている。

 国連や関係者による調査・報告などについて、外務省関係者は「偏った内容が散見されることは確か。そうした情報を後ろ盾に日本について間違ったイメージを植え付けようとする動きもあり、精査が必要だ」としている。


 今回の判決では、理由の一つに通称の利用が拡がっていることを挙げていますが、これは根拠としては弱いような気がしますし、選択的別姓については判断していないとして、立法府に投げかけています。また、違憲判断を期待していた側は、最高裁が「国会で論ぜられ、判断されるべき」としたことや、15人の裁判官のうち女性3人を含む5人が反対意見を述べたことを取り上げています。国会では、これまでも何度となく夫婦別姓を含む民法改正案が上程されていますし、憲法判断の訴訟についても、これから何度も起こされることと思いますので、今後も注視していきたいと思います。


《夫婦別姓に関する拙ブログ記事》

夫婦別姓が無理矢理進められている
夫婦別姓を求めて提訴?
夫婦別姓に関する世論調査
夫婦別姓訴訟で別姓のままの婚姻届受理の訴えについて却下
国連は夫婦別姓を求めているのか
夫婦別姓に関する世論調査 その2
夫婦別姓訴訟、高裁でも敗訴


《非嫡出子の相続に関する拙ブログ記事》

非嫡出子の相続に関する民法の規定の合憲性
非嫡出子の相続に関する民法の規定の合憲性 その2
非嫡出子の相続に関する民法の規定の合憲性 その3
非嫡出子の相続に関する民法の規定に最高裁が違憲判断
非嫡出子の相続に関する民法の規定に最高裁が違憲判断 その2
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