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zoom RSS 第4次男女共同参画基本計画策定について その8

<<   作成日時 : 2015/08/07 09:59   >>

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 前回素案の「6 生涯を通じた女性の健康支援」について見てみましたが、今回は「9 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備」について見てみたいと思います。目標では

 男女共同参画の視点に立ち、男女ともにライフスタイルを柔軟に選択できる社会の実現に向けた制度・慣行の見直しを進めるとともに、それを支える育児・介護の支援基盤の整備を進める。

とあり、1項目目の「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し」では、施策の基本的方向として、

 家族形態の変化やライフスタイルの多様化を踏まえつつ、男女の社会における活動の選択に中立的に働くよう、社会制度・慣行を見直す。具体的には、女性の就業調整等につながる可能性のある税制や社会保障制度等の見直しを検討する。国際規範・基準の積極的な遵守や、国内における実施強化といった視点にも留意する。また、男女がともに仕事と家庭に関する責任を担えるよう、育児・介護の支援基盤整備を進める。

とあって、具体的な取組の中には、「ア 働きたい人が働きやすい中立的な税制・社会保障制度・慣行、家族に関する法制等の検討」として、

・税制における個人所得課税の諸控除の在り方について、平成26年11月に政府税制調査会が取りまとめた論点整理等を踏まえ、国民的議論を進めつつ見直しを行う。

・社会保障制度について、平成28年10月からの短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大を着実に実施するとともに、さらなる被用者保険の適用拡大を進めていく中で第3号被保険者を縮小していく方向で検討を進める

いわゆる配偶者手当については、結果的に女性の就労を抑制している場合があるとの指摘があることに鑑み、平成26年12月16日の政労使会議で取りまとめられた「経済の好循環の継続に向けた政労使の取組について」を踏まえ、必要な検討を進める

ことが掲げられており、その下に家族に関する法制について括弧書きで次のように記載されています。

なお、家族に関する法制については、今後最高裁判決が予定されていることから、第4次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(答申)において記述する。

 「9 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備」の記述については、3月に提示された素案(案)から若干変更がありました。前述の家族に関する法制について答申段階で記述することについては、夫婦別姓に関する判断が最高裁大法廷に回付されたことに伴うもので、素案(案)段階では、次のような記述があったものが、削除されました。

 家族に関する法制について、夫婦や家族の在り方の多様化や女子差別撤廃委員会の最終見解も踏まえ、婚姻適齢の男女統一、女性の再婚禁止期間の見直し、選択制夫婦別氏制度の導入等の民法改正について、引き続き検討を進める。また、時代の変化等に応じ、家族法制について検討を行う。

 また、素案(案)では、

 女性の職業分野等における活躍の状況を適切に把握した上で、国民生活に与える影響に配慮しつつ、配偶者控除の縮小・廃止を含め、働き方の選択に対して中立的な税制の構築に向けた検討を進める。

とあったのが、上記のように、「税制における個人所得課税の諸控除の在り方について、(中略)国民的議論を進めつ見直しを行う。」という表現に変わり、配偶者控除の縮小・廃止という具体的な文言がなくなりましたが、配偶者控除の見直しがなくなったということではなく、それ以外の控除についても見直しを行うということではないかと思います。

 第3次基本計画にあった「男性片働きを前提とした世帯単位から個人単位の制度・慣行への移行」という強い表現はなくなったものの、具体的な取組の内容は第3次基本計画とは変わらず、新たに民間企業における配偶者手当にまで言及しています。

 以前、拙ブログ(配偶者控除の見直しについて)でご紹介しましたが、産経新聞平成26年3月19日の正論欄で八木秀次氏が次のように税制や社会保障制度の経緯について説明されています。

 「個人」の福祉を国や自治体が全部面倒をみるのは財政的に不可能というものだ。このことは既に大平正芳政権時に予測され、政府、自民党は「日本型福祉社会」、「家庭基盤の充実」構想を打ち出した。

 それは、まずは国民一人ひとりの自助努力が必要であり、そのうえで家庭、地域、企業、同業者団体が国民の福祉を担い、国はあくまで最後のセーフティーネットとなるべきだという考え方である。そして、福祉を担う存在として家庭を位置付け、国はその基盤を充実させる政策をとるべきであり、その意味で、英国型でも北欧型でもない「日本型」の福祉社会を目指すという構想だった。

 現在、国民年金保険料を40年間丸々納入しての毎月の年金支給額は6万5千円である。「おひとりさま」だと、とりわけ都市部では暮らせない金額であるが、子供との同居であれば、孫に小遣いをあげられる金額でもある。大平政権時は昭和50年代で、高齢者の6割が子供と同居し、その形態は「含み財産」ともいわれた。

 「家庭基盤の充実」構想は後の内閣によって、配偶者控除の拡充や配偶者特別控除の導入・拡充、同居老親の特別扶養控除の導入、専業主婦の第3号被保険者制度の導入などの形で日の目を見て、家庭を子供や高齢者の福祉を担う存在にし財政的に支援してきた。しかし、村山富市政権で、社会保障の単位が「世帯から個人へ」転換され、「男女共同参画」の名の下に家庭を「個人」に分解する政策が現在もとられている。

 これは、素案にも目標の中に「社会制度や慣行は、それぞれの目的や経緯を持って生まれてきたもの」という指摘がある通りで、我が国の社会保障制度の持続性を考えて制度化されてきたのが現在の配偶者控除を始めとする家族基盤の充実を図る社会制度であることを説明されたものです。

 つまり、社会保障費を抑制するために、家庭を子供や高齢者の福祉を担う存在として支援すべく、各種控除や専業主婦の第3号被保険者制度の導入を行ってきたのに、現在の政策は逆に家族を社会の単位と認めず、全て個人単位にしようとしているために、家庭での福祉が機能しなくなり、社会保障費が増え続けているという指摘です。

 また、同じ事を拙ブログ(社会保障制度と少子化問題)で、社会経済学の立場で安宅川佳之氏が説明されていることを取り上げたこともありますが、安宅川氏は著書「家族と福祉の社会経済学」の中で、次のように説明されています。

 「社会保障制度という巨大な保険制度が完成することによって、子どもを産み育てなくとも社会が老後生活を保障してくれるようになったのである。他方、子どもを産み育てても、成人した子どもが支払う保険料は社会保障財源全体には貢献するが、自分の親に対する直接的な「仕送り」にはならないので、親子の結び付きを弱める効果を持っている。賦課方式社会保険制度の充実は、弱者である高齢者・病人や貧困家族にとっては欠くべからざるものであるが、後続世代へ負担を先送りすることや、自助の精神を弱めて労働力の再生産機能を担う家族制度を弱体化させるという副作用もあるのだ

 更に、賦課方式社会保障制度は世代間所得移転制度であると同時に、世代をまたがる家族単位で考えると「多子家族から無子・少子家族への世代内の所得移転」を伴う制度でもあることがわかる。

 この所得再分配制度は、子どもを生むことのコスト負担を過重にし、多子家族を営む者に相対的に重い負担を掛けることとなり、少子もしくは無子家族を選択するインセンティブとなったのである。

 従って、少子化問題を解消するには、利他主義の根源に立ち返って、子どもを産むことの意義を国民全体が根本的に考え直すことが必要である。ミクロ的には子どもを産まなくても老後を生きていけるようになったが、「社会全体、すなわちマクロ的には後続世代を育てることによってのみ、先行世代が生きることができる」という動かしがたい事実に国民が目覚める必要がある。

 女性が働くことについての国民の意識については、前々回の拙ブログで、決して多くの女性が子供が出来てもフルタイムで就業することを望んでいるのではなく、子供が小さいうちは子育てに専念して子供の進学に伴って必要に応じて働く希望があることや、専業主婦を希望する方も多いことを取り上げましたが、平成11年の男女共同参画社会基本法施行以来、膨大な予算を組んで男女共同参画を推進してきたにもかかわらず、こうした意識が強いことに目を向けるべきではないでしょうか。




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