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zoom RSS 第4次男女共同参画基本計画策定について その7

<<   作成日時 : 2015/08/06 11:26   >>

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 前回素案の「3 雇用等における男女共同参画の推進と仕事と生活の調和」について見てみましたが、今回は「6 生涯を通じた女性の健康支援」について見てみたいと思います。目標には、

 女性は妊娠・出産や、女性特有の更年期疾患を経験する可能性があるなど、生涯を通じて男女は異なる健康上の問題に直面することに男女とも留意する必要があり、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ」(性と生殖に関する健康と権利)の視点が殊に重要である。

とあります。リプロダクティブ・ライツについては、男女共同参画基本計画(第1次)策定前後に国会等で議論されたこと、そしてそれに基づいて第2次男女共同参画基本計画では、リプロダクティブ・ライツについて、基本計画の中に注意書きが掲載されたことについて、拙ブログ開設当初に取り上げたことがあります。

リプロダクティブ・ライツについて

 また、第3次基本計画では、第2次基本計画にあった注意書きが削除され、「人工妊娠中絶・生殖補助医療に関する法制度等の在り方について、多様な国民の意見を踏まえ、検討が行われる必要があ」ると明記され、その前段の答申段階ではすべてのカップルと個人が自分たちの子どもの数、出産間隔、並びに出産する時を責任をもって自由に決定でき、そのための情報と手段を得ることができるという基本的権利、並びに最高水準の性に関する健康及びリプロダクティブ・ヘルスを得る権利とされている。」とまで書かれていたことを、拙ブログの次の記事で取り上げました。

第4次男女共同参画基本計画策定について その4

 このように、第2次基本計画ではリプロダクティブ・ヘルスを知る権利であって、中絶の自由を認めるものではないとしたのに対し、第3次基本計画では「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点が殊に重要である。」と明記された経緯について、リプロダクティブ・ヘルスを得る権利と、リプロダクションに関して自ら決定する権利というものも入るということが、第3次基本計画策定の際に意見として出されていたことについては、拙ブログの次の記事で取り上げました。

第4次男女共同参画基本計画策定について その5

 そして、その記事の中で、今回の計画策定専門調査会の第8回会合で、委員である高橋史朗氏が、

 結婚とか出産の自由というものが強調されることは個人の自由という観点からは当然でございますが、同時にそのことが家族を形成する意義とか、親になる価値というものを軽視してきた側面があるのです。少子化ということから考えていきますと、女性の自己決定権というものが一方で胎児の生命権と本質的に対立するという「自己決定権の背理」がございますが、それが家族とか生命倫理の基本的な価値を否定しかねないという側面があります。

と貴重な意見を述べられていたことをご紹介しました。その後、第9回の計画策定専門調査会で、高橋史朗氏の意見が素案に反映されておらず、重ねて橋氏から、次のような意見が述べられ、調査会鹿嶋会長とのやりとりがありました。

○橋委員 40ページ、41ページの生涯を通じた女性の健康支援ということについてなのですが、これはきょう3月25日の議事録が入っておりますけれども、22ページでかなり問題提起をしたことでございますが、全く反映されていないのであえてまたここで申し上げなければならないのですけれども、子供の人権の視点とのバランスとぜひとってほしいということであります。それは後のほうには反映しているのですけれども、女子差別撤廃条約の中で、あらゆる場合において子の利益は至上であるという文言が3カ所出てまいります。女性の自己決定権ということは本質的に胎児の生命権と、胎児を通して命の選別を促進しかねないという生命倫理にかかわる配慮があるわけですので、その生命倫理あるいは子供の最善の利益にも配慮をするというバランスをぜひとっていただきたいということが要望でございます。

 41ページの「イ ライフステージ別の取組の推進」という中に幼少期・思春期という項目がございますけれども、この辺のどこかに盛り込むのか。どういう形で盛り込めばいいか御検討が必要ですけれども、ぜひバランスに配慮した表現にしないと国民的な合意を得るのは難しいのではないかと思われますので、ぜひ御検討をお願いします。

○鹿嶋会長 橋委員のものは今から説明しますが、62ページ「教育・メディア等を通じた意識改革、理解の促進」の目標の中に、「子供に関する取組を行うに当たっては、子供の最善の利益に配慮する必要がある」という形で盛り込んでおります。これは幾つか検討したのですけれども、例えば61ページの人権の問題ということも考えたのですが、これは異論が幾つかありまして、要するに子供のところだけ最善の利益と言うのは人権としておかしいのだと。だからこちらのほうに盛り込んだということがありますので、全然無視も何もしておりませんので、それは御了解いただきたいと思っております。62ページの目標にちゃんと入れております。

○橋委員 それはわかっているのですけれども、女性の自己決定権に関連して問題提起をしたわけでございますので、62ページに子供の最善の利益を入れていただいたことは大変ありがたいと思いますが、あわせてこの項目についても、ちゃんとそのことについては配慮しているよという表現がどこかに必要ではないかという問題提起を加えます。

○鹿嶋会長 またこれも預かりになります。ここでは回答できません。預からせてください。
 
 こうして、再三に亘って高橋史朗氏からの提案がありましたが、残念ながら意見を募集する段階での素案には全く反映されていないようです。第8回で橋氏が指摘した

結婚とか出産しない自由を保障するためには、一見矛盾しますけれども、一定数の第三子、第四子が必要でありまして、家族の重要性、家族形成の意義というものについても教える必要がある

ということは、社会保障制度の視点からも重要で、安宅川佳之氏も「家族と福祉の社会経済学」の中で、次のように指摘されていました。(拙ブログをご参照下さい)

少子化問題を解消するには、利他主義の根源に立ち返って、子どもを産むことの意義を国民全体が根本的に考え直すことが必要である。ミクロ的には子どもを産まなくても老後を生きていけるようになったが、「社会全体、すなわちマクロ的には後続世代を育てることによってのみ、先行世代が生きることができる」という動かしがたい事実に国民が目覚める必要がある。

 このような男女共同参画の当初から国会等でも議論されてきた経緯や専門家の提案があるにも関わらず、どうして女性の自己決定権ばかりが強調されるのか疑問に思います。
 


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