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zoom RSS 第4次男女共同参画基本計画策定について その5

<<   作成日時 : 2015/07/03 17:15   >>

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 現在、第4次男女共同参画基本計画の策定が進められており、前回まで拙ブログでも4回に亘って5年前に策定された第3次男女共同参画基本計画の内容について振り返ってみました。

 第4次基本計画の策定は、内閣府男女共同参画局の計画策定専門調査会で進められており、今まで9回開催されていますが、現在「第4次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)【案】」が審議されており、同案が承認されれば、その内容についてパブリックコメントと地方公聴会が実施されるようです。(第1回資料「第4次男女共同参画基本計画策定のスケジュール及び体制」による)

 計画策定専門調査会の委員には、第3次基本計画から参画している委員も数名いらっしゃいますが、その中の辻村氏は、第3次基本計画策定の際の平成22年6月7日に開催された基本問題・計画専門調査会で、次のように述べていました。

 リプロダクティブ・ライツとは、リプロダクティブ・ヘルスを得る権利だと明記してあるのですが、これはカイロ宣言の内容についての事実に反すると思います。要するに、カイロ宣言では、「リプロダクティブ・ライツとは、自分たちの子どもの数、出産間隔、ならびに出産する時を、責任を持って自由に決定でき、そのための情報と手段を得ることができるという基本的権利、ならびにリプロダクティブ・ヘルスを得る権利」と書いてありまして、一応権利の内容は2つあるのです。

 片方はリプロダクティブ・ヘルスを得る権利でこのままでいいのですが、もう一つ、リプロダクションについての自ら決定する自己決定権のことなんですけれども、自ら決定する、自ら自由かつ責任ある決定を行う権利という、北京綱領の95パラグラフにも出ている言葉がここでは落ちています。これは事実に反するのではないかと思いますので、調べていただいて、国際文書の文言に合わせてリプロダクティブ・ヘルスを得る権利と、リプロダクションに関して自ら決定する権利というものも入るということについて、最終的な扱いはお任せいたしますけれども、よろしく対処をお願いしたいと思います。


 つまり、第2次基本計画では「性と生殖の権利(リプロダクティブ・ライツ)とは、「性と生殖の健康(リプロダクティブ・ヘルス)を得る権利」とされている。(中略)我が国では、人工妊娠中絶については刑法及び母体保護法において規定されていることから、それらに反し中絶の自由を認めるものではない。」とされていたリプロダクティブ・ライツを、ヘルスを得る権利だけではなく、自己決定権としての意味も入ると主張されていて、その結果、第3次基本計画では、第2次基本計画にあった注意書きが削られ、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点が殊に重要である。」と明記されました。

 現在審議されています「第4次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)【案】」でも、第3次基本計画と同じく、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康と権利)の視点が殊に重要である。」と記載されていますが、このこと(※)について、委員の橋氏が、第8回の会合で、次のように述べられています。
※第8回調査会時点の素案はこちら

 生涯を通じた女性の健康支援ということについて意見を申し上げたいと思うのですが、23ページ、24ページです。これは起草ワーキングチームの会議でも申し上げたのですが、あるいは3月4日の会議には出席できなかったので意見書という形で提出させていただきましたが、リプロについては長い議論の積み重ねがあるわけでございますが、この点については相当練り上げた表現にしないと、国民的な合意を得られないのではないかと思っております。

 具体的に申し上げますと、これは大変難しい問題なのですが、少子化対策という問題あるいは家族形成という問題との絡みをどう考えるかということなのです。昨年6月に担当大臣も出席されて、日本人口学会の公開シンポジウムがありまして、そこで少子化対策のパラダイム転換というテーマで、サブテーマは新しい家族政策へということでございましたが、明治大学の加藤彰彦教授が、少子化の根本原因は家族と共同体の弱体化にある。総花的な従来の福祉政策からの転換が必要だということを訴えて、存続する家族をふやし、地域共同体を再生する必要がある。こういう問題提起をしたのです。

 何を申し上げたいかといいますと、教育の実態から言いますと、これも加藤彰彦先生が著書などでも紹介されておりますが、1990年代から家族からの自立イデオロギーがより過激な自己選択・自己決定を強調するイデオロギーとして喧伝されてきた。そして、そのことが少子化の原因である未婚化を一気に推進した側面がある

 結婚とか出産の自由というものが強調されることは個人の自由という観点からは当然でございますが、同時にそのことが家族を形成する意義とか、親になる価値というものを軽視してきた側面があるのです。少子化ということから考えていきますと、女性の自己決定権というものが一方で胎児の生命権と本質的に対立するという「自己決定権の背理」がございますが、それが家族とか生命倫理の基本的な価値を否定しかねないという側面があります。そのことを踏まえてバランスのとれた表現にする必要があります。リプロの強調によって女性の自己決定権を絶対化し過ぎると、例えば出生前診断等に基づく「命の選別」を促進して、少子化対策の阻害要因となるおそれがあるということにも配慮する必要があるのではないか。

 一方で結婚とか出産しない自由を保障するためには、一見矛盾しますけれども、一定数の第三子、第四子が必要でありまして、家族の重要性、家族形成の意義というものについても教える必要がある。一見、結婚、出産しない自由と家族形成の大事さというのは矛盾するように見えるかもしれませんが、これは1つの背理でありまして、少子化をどうやって克服していくかというのは国家的な重要課題でありますから、従来の福祉政策ではうまくいかないことは明確でありますので、家族という視点、少子化という視点と女性の自己決定権というものの兼ね合いをどう考えるか。これは根本的な問題でございますが、そのことについて十分に議論をした上で、バランスのとれた記述にする必要があるということを申し上げたいと思います。


 橋氏の発言の後、若干の意見のやりとりがありましたが、会長が「なかなか難しい議論ですので、ちょっと預からせてもらいます。預かってもこちらの腹が膨れるだけなのですが。」と発言し、またその後の議論の中でも会長から「高橋委員はリプロを敵視し過ぎませんか。」という発言もあり、残念ながら第9回の資料には、橋氏の意見は全く反映されていません。しかし、「家族という視点、少子化という視点と女性の自己決定権というものの兼ね合いをどう考えるか」という指摘は大変重要な指摘ではないでしょうか。

 尚、橋氏が紹介された加藤彰彦氏が論じている「家族からの自立イデオロギー」の問題については、国立社会保障・人口問題研究所の刊行物「未婚化を推し進めてきた2つの力」(加藤彰彦氏)の中の「Y結論と考察」の中に次のような記述がありますので、ご参照下さい。

 未婚化を推し進めてきた2つの主因を特定することができた.1つはマクロ経済のパフォーマンス低下にともなう階層格差の拡大である.経済成長には,結婚のチャンスに格差を生じさせる社会階層の力を緩和する効果がある.1970年代半ば以降,経済成長の低下にともない,この緩和効果が衰えたことが,潜在化していた階層本来の力を呼び覚まして,男性の未婚化を進展させた.相対的に低階層の男性で未婚化が進むと,経済的に結婚可能な男性の人口規模が漸進的に縮小する.それとともに女性の側でも結婚相手の供給不足が生じて未婚化が進むことになった.

 未婚化のもう1つの主因は,個人主義イデオロギーの普及による共同体的結婚システムの弱体化である.親族・地域社会・会社などの身近な共同体が行う配偶者選択の支援には,結婚の確率を高める強力な効果がある.しかし,高度成長期に導入された近代核家族(恋愛結婚と夫婦家族)のイデオロギーは,バブル経済崩壊後の1990年代に,よりラディカルな自己選択・自己決定・自己責任のイデオロギーとして喧伝され,共同体的結婚システムを否定した.とくに,経済力のある男性の供給不足に直面した女性にとって,共同体的結婚システムの衰退は相手探しのコストと困難がさらに増加することを意味する.女性の未婚化が1990年代に一挙に進んだのはそのためである.



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